稲垣吾郎&草彅剛&香取慎吾、ヒロミに引き出された“弟感” 2年7カ月ぶりロケにも出向いた10月の『ななにー』

 稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾のレギュラー番組『7.2 新しい別の窓 #55』(ABEMA※以下、『ななにー』)は、2年7カ月ぶりにロケへ。久しぶりに都内を移動するバスに揺られながら、「結構涙だよ!」と香取の声が弾んだ。

 この日、草彅と香取は2人芝居の舞台『burst!~危険なふたり~』を終えたその足で『ななにー』に到着した。「即出」で次の現場へと向かうギリギリのスケジュール、何気ない近況話で盛り上がるバス内、番組だからこそ新たな経験ができるロケ……当たり前のように感じられた一つひとつの風景がとても愛しく、彼らの顔を明るくさせているようだった。

 また、ロケ先で待つゲストが『ななにー』の初回(2018年4月)放送以来の出演となるヒロミだったのも、3人をワクワクさせた大きな理由かもしれない。ヒロミは香取が17歳のころ家に招き入れ、初めて「これぞ芸能人の家」を体験させてくれた人。それぞれを「吾郎」「剛」「慎吾」と呼ぶ、芸能界の兄貴的存在であることから、3人の弟感が引き出される時間となった。

 『ななにー』では初ロケとなったEXITが振る舞うバーベキュー料理に舌鼓を打ち、稲垣と草彅が興味津々で食材を眺めに近づく。すると通販番組のようななめらかな口調で、ヒロミがアウトドアグッズの魅力を解説していく。そんなのびのびとした開放的な雰囲気も、ロケならではだろう。その光景を見た香取が「いい画だな」と嬉しそうにつぶやくのが印象的だった。

 やはりヒロミ、草彅、香取が集まれば、盛り上がるのが共演していた『笑っていいとも!』(フジテレビ系)での思い出話。『いいとも!』特大号で披露されるものまねは、関根勤をのぞいて全出演者が戦々恐々としていたこと。そのヒヤヒヤとした空気を生放送で視聴者と共有できる番組も今はなかなか見ない。

 考えてみれば、司会を務めるタモリの家に『いいとも!』ファミリーがプライベートで集まり親睦を深めたという話も、このコロナ禍ではもちろんのこと、他の番組でもレギュラー陣が家を行き来するほどの付き合いになる話はなかなか聞かない。

 振り返れば「昔はよかった」という話はたくさんある。だが、時代は確実に流れている。番組の作り方も、視聴者が求めるものも、日々変化していく。テレビとインターネットの境目がどんどんなくなり、出演する側が作り手側となって発信することもできるようになった。ヒロミもYouTubeチャンネル『Hiromi factory チャンネル』が登録者数119万人を超えるなど、新たな表現の場を築いている。しかも、撮影も編集も、たった1人でこなしているというから驚きだ。

 現在57歳となったヒロミ。彼が活躍し続ける上で心がけているのは、視聴者目線で見たくないもの、聞きたくないことをなるべく避けていくようにすること。その視点は40代の約10年間、テレビの世界から遠ざかっていた経験からだと分析する。

 例えば、アイドルの姿を好きになったファンは「おじさんだから」「おばさんだから」といったことは聞きたくないとも。なぜなら、ヒロミの中でも稲垣、草彅、香取は出会ったころの10代のイメージのままなのだから、と。

 「じゃあ、50近いから息が上がりましたとか言っちゃだめですね」と返す草彅に「あたりめーだって! そんなこと言ったら俺すぐ(説教しに)行くよ」と発破をかけるヒロミの図もまた微笑ましかった。

 とはいえ、3人がそんなふうに年齢を重ねていくことについてネガティブな発言をする姿も想像できない。それはヒロミが言う「SMAPはプロアイドルだよ」の言葉につながっているようにも感じた。

 ファンを想う姿勢、生き方、自制心。今も若いアイドルたちと仕事を共にするヒロミから見ても、そのプロ意識はレジェンドクラス。だからこそ、30年以上もアイドルの最前線で走り続けられているのだろう。

 だが、それゆえに新たに興味の幅を広げていくチャンスが限られていたのではないかと、スタジオに移動して多趣味なヒロミが3人におすすめの趣味を提案することに。しかし、そのセレクトが予想の斜め上をいくものだった。

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