超人的シェアハウスストーリー『カリスマ』に惹き込まれる理由 キャラクター演じる声優5名に聞くコンテンツの魅力
今、最もユニークな二次元キャラクターコンテンツといえば、超人的シェアハウスストーリー『カリスマ』だろう。昨年10月よりYouTubeで音声ドラマを配信。「七人のカリスマ」名義の全体曲はリリースされるたびに、そのシュールさが話題となった。またストーリー内で起こった“カリスマブレイク”なる事象に合わせてリリースされた各キャラクターのソロ楽曲も、SNS中心に多くの支持を得ている。
9月21日には1stアルバム『カリスマ ワールド』が発売、10月には初のリアルイベント開催と、様々な展開が待っている。コンテンツ開始から1年経った今、本橋依央利役の福原かつみ、猿川 慧役の細田健太、湊 大瀬役の日向朔公、テラ役の大河元気、天堂天彦役の橋詰知久、5人の声優陣にインタビューを行った。『カリスマ』について、演じているからこそ感じる作品やキャラクターの魅力を語ってもらった。(草野英絵)
わからないからこそ惹き込まれるし、考察できるのが魅力
—— 『カリスマ』ファンだけでなく、まだ作品を知らない方にも魅力をお伝えしたいのですが、改めて『カリスマ』ってどんな作品ですか?
橋詰知久(以下、橋詰):やばい作品ですよね。
福原かつみ(以下、福原):思い返してみるとギャグだったな、っていう。
橋詰:軸はギャグだよね。
福原:ギャグの中に、7人の変態……個性的な人たちがいる。
橋詰:たまにハートフルな時がない?
福原:ありますね。キャラクター同士の過去が見え隠れするときは、ハートフルになってたりする。基本的に4、5分で観られるショートギャグ的な感じでやってきました。
日向朔公(以下、日向):“推しカプが選べない作品”ですね。どの組み合わせでも、“面白い”が成立するのがこの作品だなって思うので。
橋詰:確かに。
大河元気(以下、大河):オーディションの概要が来た時点では何もわからず受けて、受かってもどういう形式でやるのかわからないまま。第1回の収録では誰も何もわかってなかったんですよ。
一同:(笑)。
大河:みんな「“カリスマブレイク”って何だ?」とか、よくわからないままずっと進んでたんです。でも、今やなんとなくわかるんですよ……これがすべてなんです。
一同:うん(笑)。
大河:ずっと観てたら、なんとなくわかる。でも言葉にしようとすると、わかんないんだよなあ。だから難しいんですよ。「『カリスマ』ってどういう作品ですか?」って言われると。
福原:基本的に、あまり深く考えずに頭を空っぽにして観られる。
大河:うん、それがいいと思う。観ていくと、なぜかみんな必ず同じところに到達している。不思議ですよね。
橋詰:ツボにハマる方はハマって、中毒性を感じていただいてる、というのがあるかな。
福原:布教しやすい、っていうのも聞いたことありますね。MVや音楽から入るのもあるし、人から人へっていうのもあるし。とにかく1話5分くらいだから観やすい構成になってる。
橋詰:コメディ好きの人が見るのもいいし、キャラクターから入ってもいいし、曲から入ってもいい。
細田健太(以下、細田):シリアスな話もあるし、考察できる部分もあるけど、基本的にはコメディ/ギャグだから何も考えないで、どこからでも入りやすいのが魅力な気がしますね。
ーーまさに、一言では表せないけど観てもらえればわかる、という作品ですよね。
橋詰:他に似たようなコンテンツは、絶対に存在しないので。
日向:初めて観た人は、絵柄からして“かっこいいもの”を想像すると思うんですよ。それが「めちゃめちゃカリスマ」っていう楽曲からスタートするから、「なんだこれは?」ってなる。結局、最後まで”カリスマブレイク“とは何なのか、謎は解けないけど、わからないからこそ惹き込まれるし、考察できるのが魅力。キャラも個性が立っているので、組み合わせによって態度も変わってくる。毎回新しい発見がある作品だなと思いますね。
ーーその個性的なキャラについて、演じている皆さんはどう感じているんでしょうか?
福原:(本橋)依央利(服従のカリスマ)は基本的に「人の命令に従って自分からは意見しない。命令に従って流されるままやっていくのが心地いい」。命令ほしさに相手に命令する、みたいな面もあるんですけど。最初の役作りで、僕自身、結構力んでいたんです。「命令されたら喜んでやる」という演技プランだったんですけど、ディレクションで「やるのが当たり前、っていう風に考えてお芝居してみてもらえませんか?」と言われてから、プランがまるっと変わって。全部が全部力むお芝居じゃなくなりましたね。だんだん依央利の解像度も上がってきた。さっきもさっくん(日向)が言ってたけど、「カリスマ」のキャラは話す相手によっても口調が変わる。それも1期を通してわかってきました。
日向:湊 大瀬(内罰のカリスマ)を演じている身からすると、いおくん(依央利)はお節介です!
一同:(笑)。
大河:この2人、いつも楽しそうなんだよな(笑)。
福原:いつも喧嘩しちゃうもんね。まかせてくれるだけでいいんだけど。
日向:嫌ですよ(笑)!
大河:これが最終的にデスファイトまでいっちゃうから(笑)。依央利くんやばいなって。
福原:元気さん、それよく言いますね(笑)。
大河:いやー、褒め言葉よ。本当に。自我がない分、命令をもらった時、徹底してるから怖い。
福原:けど、テラさん(自愛のカリスマ)とはキャッキャしてる。
大河:確かに。結構ここ2人(テラと依央利)は仲良くしてる。
ーー他の方はどうでしょう?
橋詰:(挙手して)はいっ、天堂天彦(性のカリスマ)でーす。すみません、依央利さん、避けてます? あんまり天彦に絡んでくれない印象。
福原:それはやっぱりねえ……胸に手を当てて(笑)。
大河:単純に、天彦が自立してるっていうのがあるんじゃないかな。
橋詰:一人でなんでもできるタイプではあるから、“奴隷”がいなくても大丈夫なのかな?
大河:天彦のやってることが専門的すぎて、依央利くんが手を出せないんじゃない?
橋詰;あとは、もし展開があるとしたら、YouTubeでは出せない内容になるのかも……。
一同:(笑)。
大河:それは“ボボンガリンガ”的な?(※天堂天彦ソロ曲「VIVA LA LIBERATION」の歌詞)
細田:なんてことを言うんだ(笑)。猿(猿川慧/反発のカリスマ)と依央利は、7人の中で珍しくシェアハウスの前から関係性があることがわかっているので、他の5人とは違う2人だけの空気感があるなと思う。2人きりで喋ることも多いし、この家の中で一番心を開いてるような気がします。
福原:猿の取り扱いに関しては、テラさんが一番うまいけどね。
大河:でも依央利くんにとって一番キーになるのは、大瀬くんのような気もしますけどね。
福原:「#72夏祭り」でも、依央利に大して強気できてくれたり。
大河:依央利くんは命令されて服従するという特性から、“対等”があまりないので、大瀬に対して当たりが強いの面白いですよね。猿川くんは別として、依央利と大瀬は一番友達っぽい関係に見えて。
橋詰:確かに。大瀬も大瀬で引っ込まずに当たりにいくから、それは珍しいですよね。
ーーでは、この流れで、湊 大瀬についてもお聞かせください。
日向:放っておけない子だなって。ネガティブで、悪いことが起きたら「原因は自分だから」ってところに行き着いちゃう。そこから何をしでかすのかわからない、危なっかしい子だから、他の住人たちも見守ってくれてることが多いです。口を出してくれることも、手助けしてくれることもあったり。この子なりにがんばってるのを、皆が陰ながら見ている。興味あるかないかはわからないけど。
福原:見守ってるくらいの感じ。
日向:「性格を変えたいです」って言うときも、吐きながら絵を描いているときも、いおくんが遠くから見守っててくれる。
福原:一緒に住んで時間も経ってるから、依央利なりに大瀬の内面の情熱みたいなものも感じ取ってるところはあるんだろうな。放っておけないっていうのはあるかも。大瀬が出ていっちゃったときも、皆で探しに行って引きずり戻して。最終的に「一緒にいて」って言うくらいになってましたから。
日向:不思議な関係。
福原:家族っぽいし友達っぽいし。
細田:猿と大瀬は、最初全然絡んでなかったんですけど、絡み出したらいきなりエンジン全開というか(笑)。一発目が「#37 大瀬ムーブ」で、初めてちゃんと会話するなと思ったら、うんこって(笑)。インタビューの回(「#40 インタビュー 大瀬」)でみんなに説明してあげたり、実は猿は大瀬と絡むとめちゃめちゃお兄ちゃん。
大河:唯一じゃない?
細田:そうなんですよ。見守るどころか引っ張っていく、珍しい猿が出る。最近じゃ「鍛えてやらなきゃ!」みたいな(「#66 気合い入れろ」)。こんな関係性になるとは思ってなかった。“ウルフ”って呼ばれてるから、猿にオオカミの絵をプレゼントしてくれるんですよね。変な絡み方しちゃってるけど(笑)、ちゃんと関係性ができてて、猿も絵をもらって喜んでる。全然絡まないで始まったわりに、実はこの2人は相性いいんだなって思いますね。
日向:兄弟感があるメンバーですよね。
橋詰:天彦は基本的に見守ってるんですが、おもちゃにすることもあります。
日向:天彦さん、(大瀬を)持って帰ろうとするんですよ。
大河:あんまり近づけたくない(笑)! テラと大瀬は、絡むことは多いんです。すごくいい会話をするんですけど、僕的にはまだ何かが足りないんですよね。それがいい距離感といえばいい距離感だし、完成形な気もするんですけど、まだ何かが足りてないなって気はする。シェアハウスをした、ただ一緒にいる2人っていう感じ。これからどうなっていくのか楽しみですね。