金爆 鬼龍院翔、サイサイ すぅも声を提供 サブスク型の音声合成ソフト「VoiSona」登場の意義
正式版の開始に際しては、「CeVIO」シリーズでお馴染みの“さとうささら”のサブスクがスタート。β版として公開されていた知声は引き続き無料で利用可能となっている。
加えて、音楽シーンで活躍するアーティストたちの参加も決まっている。現時点では、ゴールデンボンバーの鬼龍院翔とSILENT SIRENのすぅがラインナップ。どちらも2022年末のサービス開始を目指すという。この試みは、AIによる歌声合成技術が実際のアーティストの声で行なわれるという意味でも、注目のサービスになりそうだ。人気アーティストの歌声を使った二次創作の収益が、アーティスト側に還元されるシステムが構築できるなら、アーティストの新たな収入源になるだけでなく、音楽文化としても様々な可能性が期待できる。
たとえば、声という月日の経過で変化していくものを後世に残すという意味でも、意義のある試みに繋がるかもしれない。10代、20代、30代、40代……と、アーティストの歌声には、時を経るごとに違った魅力が生まれていく。そうした様々な年代/時代での歌声を保存しておくことで、アーティスト本人が、自身が歩んできたキャリアの様々な地点での歌声のライブラリを、新しい楽曲に利用可能な形で持つことができるようになるかもしれない。
今回VoiSonaに参加が決まった鬼龍院翔は「これで新たな反則技が使えるかもしれないと考えるとオラわくわくすっぞ!」とコメント。これまでゴールデンボンバーとして予想外のライブや楽曲を制作してきた彼が、どのようにVoiSonaを使いこなすのかは楽しみだ。一方、すぅは「自分の声がAI歌唱ソフトになるのはなんだか不思議な感覚ですが、私もそうしたソフトを用いた曲をよく聞いているのでとても嬉しいです! 私の声を使用したソフトでいろんな曲が生まれることを楽しみにしています!」と喜びを示しているように、YouTubeや様々なプラットフォームに自身の声が発信されるというのは、アーティストとしてのメリットも大きいだろう。
また、自分と同じ声のAI歌唱ソフトが生まれることに抵抗を覚えるアーティストがいる場合には、チューニングをすることであえて本人との声質をずらして、「本人の歌声」と「それに似たもうひとつの歌声」の共存を図ることもできる。この取り組みを実際に行っている事例が、CeVIO AIとKAMITSUBAKI STUDIOの所属アーティストによるコラボレーションで生まれた、可不や星界、裏命といった「音楽的同位体」シリーズとなる。
近年、AI技術を使用したサービスの普及に伴い、エンターテインメント業界でも様々な課題が顕在化しつつある。けれども、クリエイターの権利を守ることや、安定した利益の還元システムを整えることができれば、AIはアーティスト/クリエイターの力強い味方になる。「VoiSona」は歌声合成ソフトウェアの分野で、その裾野を広げてくれる存在になりそうだ。
■ソフトウェア情報
「VoiSona」
【著作権者】
(株)テクノスピーチ
【対応OS】
Windows 11 / Windows 10(64bit 日本語版または英語版)、macOS 10.12 以降
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.0.2 (22/09/05)
公式サイト
https://voisona.com/