大きな転期迎えたAKB48姉妹グループ NMB48、SKE48ら国内5組の現状と展望
すっかりアイドル界の中心となった坂道シリーズ。一方、AKB48は最後の1期生・峯岸みなみが今年5月に卒業し、元総監督・横山由依も年内でグループから離れるなど、2021年は“世代交代”を特に印象づける年となった。
企画面では柏木由紀がWACKとコラボレーションするという試みがあった反面、自虐的なタイトルを付けて放送された冠番組『乃木坂に、越されました~AKB48、色々あってテレ東からの大逆襲!~』(テレビ東京系)が開始3カ月を持たずに一時休止する事態が発生。しかし、そういったトライ&エラーがあってこそ、グループはおもしろく生まれ変わるものでもある。
では、AKB48の姉妹グループはどうだったのか。今回は、NMB48、SKE48、HKT48、STU48、NGT48の2021年の出来事、そして今後へ向けた課題などについて触れていく。
渋谷凪咲が大ブレイク NMB48がいよいよ頂点に?
まずクローズアップしたいのはNMB48だ。AKB48同様に最後の1期生・白間美瑠が卒業。山本彩らレジェンドたちとグループの礎を作りあげ、エースとしてメンバーをけん引した白間。ただ彼女が抜けたことで、グループ内でのバトルが激化。この活発な状況がたまらなくおもしろい。上西怜は幾度となくセンター奪取を宣言。ここまでセンターに執着するメンバーは近年、珍しいのではないだろうか。彼女の強い意志がグループの活性化につながっているように思える。
また、渋谷凪咲がバラエティ番組を中心に全国的に大ブレイク。なかでも10月22日オンエアの『上田晋也VS人気芸人トーク検定2時間SP』(フジテレビ系)で見せた芸人顔負けのトーク力には衝撃を受けた。南海キャンディーズ・山里亮太も、自身のラジオ番組『山里亮太の不毛な議論』(TBSラジオ)で「本当にすごい。上田さんが完全に信頼して、(渋谷に話を)毎回振っていた」と大絶賛。
渋谷を筆頭として、グループの軸となっている小嶋花梨など、現在のNMB48はとにかくタレント揃いである。山本彩、渡辺美優紀らの時代をしのぐ個性派集団と言っても過言ではない。今こそ念願の“頂点(てっぺん)”を手にできるタイミングではないだろうか。
最年少・林美澪がセンターに 育成力問われるSKE48
SKE48は4月に1期生・松井珠理奈が卒業。2018年の『AKB48世界選抜総選挙』で1位に輝くなどグループの大黒柱だった松井に代わる存在として、9月リリースの28thシングル表題曲「あの頃の君を見つけた」でセンターに抜擢されたのが12歳の研究生・林美澪。全国区の須田亜香里や、グループのキャプテンでありSKE48劇場支配人も兼務する斉藤真木子は加入から12年、古畑奈和や江籠裕奈も10年を迎えた。
根強い人気を誇るメンバーがいる一方、SKE48は長らく“次期エース不在”と言われ続けている。松井の卒業によってそれが顕在化されたなか、グループ最年少の林に大役を担わせたのは思い切った選択であり、現状を打破したい思惑もうかがえる。
『TOKYO IDOL FESTIVAL 2021』出演時には、須田がMCで「SKE48は下が12歳、上が29歳のメンバーがステージに並んでいる。私、須田亜香里はもうすぐ30歳になります」と幅の広さをアピール。確かに、グループとして多彩性が武器になってきた。そのひとつの象徴として、荒井優希が今年から本格的にプロレスラーとしてリングに上がっていることなどが挙げられる。そんななかで、新センター・林の力をどこまで伸ばせるのか、改めてグループとしての育成力が問われる。
田中美久、矢吹奈子を軸に充実期迎えるHKT48
HKT48は宮脇咲良が6月に卒業したものの、エース・田中美久の人気が全国的に上昇。グループとしても勢いづいている。田中は『第10回AKB48世界選抜総選挙』でも10位にランクインするなどこれまでも高い評価を集めていたが、今年9月に発売された1st写真集『1/2少女』(双葉社)が10月11日出来の重版で累計3万9千部に到達するほど大ヒット。グラビアシーンを席巻しつつある。
宮脇とともに2年半にわたり日韓合同グループ・IZ*ONEの一員として活動した矢吹奈子は、6月26日にHKT48の劇場公演に復帰。10月からは連続ドラマ『顔だけ先生』(フジテレビ系)にレギュラー出演するなど活動が活発になってきた。
年内には1期生・村重杏奈が巣立ち、次代を担うはずだった上島楓も2022年1月9日をもって卒業するなど激震続きではある。しかし12月1日には、実に4年ぶりとなるアルバム『アウトスタンディング』のリリースが決定。田中、矢吹の“なこみく”が柱となり、『3-2』(2020年)、『君とどこかへ行きたい(みずほ選抜)』(2021年)でセンターをつとめた運上弘菜らの成長も著しい。指原莉乃の卒業から2年半が経ったが、グループは今まさに充実期に入っているのではないだろうか。