玉森裕太、中島裕翔、重岡大毅……佳境迎える夏ドラマ、ジャニーズメンバーの好演
現在オンエア中の夏ドラマに数多くのジャニーズメンバーが出演している。ストーリーが進んでいくに従いハラハラしながら見守っている人も多く、各ドラマ放送後のSNSも盛り上がりを見せている。本稿ではこの夏ドラマで活躍しているジャニーズメンバーの魅力や、ドラマから垣間見た演技面の成長などについて考察してみたい。
2クール連続でのドラマ主演を果たす玉森裕太
『NICE FLIGHT!』(テレビ朝日系)で、初のパイロット役に挑戦中の玉森裕太(Kis-My-Ft2)。玉森演じる航空会社の副操縦士・倉田粋と中村アン演じる航空管制官・渋谷真夢との爽やかな恋を描き出すラブストーリー。空と空港を舞台に、パイロットや管制官たちが真摯に仕事と向き合うプロフェッショナルな姿と、等身大の恋が展開している。最新の第5話ではようやく粋と真夢の気持ちが通じ合う場面も。ドラマ開始から玉森は粋を誠実でキュートに演じている印象だ。
役者としての玉森のターニングポイントは、中村も出演していた『グランメゾン東京』(TBS系)にあったように思う。玉森は主演の木村拓哉演じる天才シェフ・尾花夏樹のパリ時代の後輩シェフ・平子祥平を演じた。演技に加え料理の所作、流ちょうなフランス語などハードルの高い役どころではあったが、ジャニーズとしても先輩である木村の背中から学ぶことも多かったのではないだろうか。それは撮影を終えた玉森の「キャプテンの偉大さ、そして座長としての佇まいなども学ぶことができた現場でした。忘れないように、今後の仕事にもちゃんと生かしていきたいと思います」というコメントにも表れている(※1)。その後も『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(TBS系)で演じたヒロインの相手役でも視聴者を大いにときめかせた。木村も過去にパイロット役を演じたことがあるが、筆者はトラブルに見舞われながら冷静な操縦でフライトを行う玉森の姿に、当時の木村の姿が重なって見えたように感じた。
玉森は『NICE FLIGHT!』に続き、秋ドラマ『祈りのカルテ〜研修医の謎解き診察記録〜』(日本テレビ系)でも主演を務める。玉森が演じるのは研修医の諏訪野良太で、カルテを読み解き、患者たちの秘密と嘘を優しく見破る“ハートウォーミングミステリー”だ。人の顔色を読むことを特技とする諏訪野が、研修先の病院でワケありの患者たちと向き合う姿が描かれる。パイロットに続き、研修医役をどのように演じるのか期待が高まる。
役者として輝きを増す中島裕翔
中島裕翔(Hey! Say! JUMP)は、放送中の『純愛ディソナンス』(フジテレビ系)で自身が副担任を務めたクラスの生徒・和泉冴(吉川愛)と惹かれ合う音楽教師・新田正樹を演じている。甘酸っぱく切ないストーリーが進行した第1話だったが、5年後を描いた第2話では1話で演じた教師役とは一転、冷徹でダークなビジネスマンをクールに演じてみせた。新田と和泉の“純愛”をテーマとする青春×恋×サスペンスの第1部から、“セカンドパートナー”のテーマも盛り込まれた恋×仕事×バトルを描く第2部への転換が見事で、これまでにない純愛×ドロ沼のエンターテインメントとして回を追うごとに衝撃的な展開やエピソードが盛りだくさん。毎週、次回の放送を心待ちにしているファンも多いのではないだろうか。中島はピアノと共に人生を歩んできた新田を演じるために、ピアノを購入して猛練習。弾き方のみならず所作も完璧にマスターしたという。中島が情感を込めてピアノを弾くことで、キャラクターの人となりを体現している。
中島の俳優としてのターニングポイントとなった、加藤シゲアキ(NEWS)の処女小説を映画化した2016年公開の『ピンクとグレー』では、共演した菅田将暉から「邪気のない天使のような人柄」と称され(※2)、対応力の高さとコミュニケーション能力など、俳優として高い資質を持つことを評価された中島。どのような作品においても演じる役柄を詳細に分析し、演技プランを構築して挑んでいる印象である。勤勉で努力家であるパーソナルな魅力が、そのまま役者としての魅力に繋がっているようだ。『しずかちゃんとパパ』(NHK総合)では聴覚障害のある父・野々村純介(笑福亭鶴瓶)を支える一人娘・静(吉岡里帆)に惹かれていく青年を爽やかに演じた。中島のキャラクターがリンクした役柄で、ハートフルなドラマに深みを持たせていた。