SPECIAL OTHERS、真夏の野音でのレアなステージ 壮大なサウンドスケープ描いた『Anniversary』ツアー初日

スペアザ『Anniversary』ツアー初日

 15分間の休憩を挟んで第2部がスタートすると、今度は4人が一緒にステージに登場。気負ったそぶりなど一切なく、まるでちょっと一服してフラッと戻ってきたかのような、等身大の立ち振る舞いがSPECIAL OTHERSらしい。前半同様、楽器をセッティングし終わったかと思いきや演奏がスタート。アルバムの表題曲「Anniversary」のイントロが鳴り出した途端に客席も大きく盛り上がり、高揚感たっぷりのアンサンブルにうっとりしていると、畳み掛けるように「PB」のイントロが鳴らされる。2009年にリリースされたサードアルバムの表題曲で、つんのめるような宮原のシンコペーション、左右に体を揺らしながら鳴らされる又吉のベース、思わず椅子から立ち上がり弾きまくる芹澤のエレピが有機的なサウンドスケープを展開し、オーディエンスは両手を上げて応えている。

 続く「STAR」は2007年にリリースされた、6曲入りミニアルバムの表題曲。アクセントの位置を微妙にずらしたトリッキーなドラム、どこか祭囃子にも通じるようなエレピのフレーズ、裏打ちのリズムがレゲエにも通じるエレキギターを基軸に、静と動の間を行き来しながら徐々に熱を帯びていく演奏がオーディエンスの高揚感を煽る。

 ゴスペルを大々的にフィーチャーしたミドルチューン「WAGON」を名残惜しそうに演奏したあと、疾走感あふれる「THE IDOL」を披露し本編は終了。

 「コロナ禍になってから何気に3年、野音でやってるんだよね。とはいえ毎年できるとは限らないので、自分でもありがたく思いながら演奏していました」と柳下が挨拶。又吉も、「野音って取れない時はなかなか取れないので、今日来ている人たちはラッキーですよ。っていうか我々がラッキーなんだけど。噛み締めて帰ってくださいね」と冗談まじりに今日、ここで演奏できる喜びを語っていた。

 アンコールでは、ライブの人気曲「AIMS」のイントロを奏でた瞬間、客席は総立ちに。全員でぴょんぴょんと跳ねながら一体になり、大盛況のうちに幕を閉じた。コロナの感染拡大が急速に広がっていく緊張感を、一瞬でも忘れて楽しめたかけがえのない時間だった。

SPECIAL OTHERS 公式サイト

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