リュックと添い寝ごはん、青春の日々を彩る楽曲たち 楽しさにも葛藤にもそっと寄り添う優しいアンサンブル

リュクソ、青春の日々を彩る楽曲たち

 そして「サマーブルーム」は、先述の通り、ロート製薬のCMソングとして書き下ろされた曲だ。リュクソの曲の中でも特にテンポの速い曲で、掻きむしるようなギターカッティングにドラム、ベースが重なっていくイントロからして“ここから何かが始まりそうだ”と予感させてくれる。音数が減ってテンションが緩まるポイントもところどころあるものの、基本的には重心の低いサウンドをガシガシと鳴らしながら全力疾走していく曲になっていて、CMではその熱いサウンドにeスポーツに励む学生たちの表情が重なる。しかしがむしゃらに走っているだけの曲ではない。〈才能は誰しもあるものだから。と/半信半疑 僕は何になれるかな?〉といった不安を抱えながらも、今この瞬間を疾走する青春期のリアルがこの曲では歌われているのだ。〈夏の魔法から覚めた心の奥が/少しだけ温まるように〉と締めも絶妙だ。

リュックと添い寝ごはん / サマーブルーム [Music Video]

 〈先のことなんか 忘れるくらいでいい〉(「くだらないまま」)、〈強く 強く 今だけを今だから生きる〉(「わたし」)、〈ずっと今のまま 今をただ笑えるように〉(「サマーブルーム」)と3曲に共通しているのは“今”に集中し、純度高く生きようという意思が歌われていること。また、「わたし」と「サマーブルーム」に関しては、〈わたし 強くないから 弱いところも 愛して/いつも笑っているけど それは自分を探してる〉(「わたし」)、〈雨に濡れた言葉を探して/拾い集めて温め合えれば/本当の自分が見つかる気がした〉(「サマーブルーム」)と、自分の心が本当に求めるものを探してほしいというメッセージを、人生の先輩からの言葉としてではなく、あくまで各曲の一人称の心の声として伝えている点も共通している。背中を押すでもないし、腕を引っ張るでもない。語りかけ方は非常にさりげない。何も言わずに話を聞いてくれる友人のように、ただ隣にいてくれるリュクソの音楽は、今、特有の心地よさとともに多くの若者に受け入れられつつある。

※1:https://realsound.jp/2021/08/post-827693.html

リュックと添い寝ごはん「サマーブルーム」

■リリース情報
リュックと添い寝ごはん
New Single「サマーブルーム」
2022年7月6日(水)配信リリース
ダウンロード/ストリーミングはこちら

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