coldrain、ライブハウスから届ける充実作『Nonnegative』の魅力 横浜アリーナ公演に向かい育まれていく新曲群

coldrain、ライブハウスで魅せる新作の魅力

 ライブ中盤は新作からの「Boys And Girls」や「Don't Speak」などのミディアム/スローナンバーで空気が一変。このエモーショナルさに満ち溢れた歌と演奏には、多くのオーディエンスの目や耳が釘付けにされたことだろう。さらに、後半は「The Revelation」や「PARADISE (Kill The Silence)」といった新旧のアンセムが連発され、ライブはクライマックスを迎えた。個人的には、アンコール最後の曲を披露する前に「このクソみたいなルールを取っ払ったとき、またここで会いましょう」「日本人がラウドロックを忘れないように、一生やり続けます!」と力強く宣言したMasatoの言葉が忘れられない。15年経とうが、この青臭いまでに実直な姿を見せ続けるからこそ、筆者は今もcoldrainのことを信用し続けられる。改めてそう実感できた、心に強く響くメッセージだった。

 アンコールを含めこの日披露された全21曲中、ニューアルバム『Nonnegative』からの楽曲は12曲。つまり、アルバム収録曲すべてがライブで演奏されたことになる。これは、ライブの合間にMasatoの口から明かされたことだが、バンドとしても新たな挑戦となるこの試みにどのようなリアクションがあるのか、初日を終えたばかりの現時点ではまだわからない。ただ、筆者の目には結成15周年という節目に完成させた充実作『Nonnegative』にかけるバンドの意気込みと、10月に控えた“大きなゴール”=横浜アリーナ公演まで新曲を育て続けようとする強い意志がストレートに伝わる、いかにもcoldrainらしいライブだと映った。ライブハウスという独特の空間で、バンドの“今”が最良の形で凝縮された新曲群を育て続ければ、数カ月後の“大きなゴール”ではベストな状態を見せられるはず……まだ初日を終えたばかりで気の早い話だが、10月16日の横浜アリーナ公演は間違いなくcoldrain史上最高のワンマンライブになることだろう。

 だからこそ、できることなら成長の過程を各地のライブハウスで見届けてほしいし、その集大成となる横浜アリーナ公演にもぜひ足を運んでもらいたい。この日のツアー初日公演は、筆者にそう断言させるだけの説得力が詰まった、最高の一夜だったのだから。

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