TOMORROW X TOGETHER、ストーリー性に富んだパフォーマンス ファンと一体になったデビュー後初の有観客コンサート

TXT、デビュー後初の有観客コンサート

 氷河期を通り越して世界の滅亡を思わせる破滅的な『The Chaos Chapter: FREEZE』〜『The Chaos Chapter: FIGHT OR ESCAPE』のイメージを象徴するようなVTRの後は、包帯を思わせる白のトップスに黒いパンツというモノクロの衣装でカオティックなイメージの「Frost」、儚さが際立つ「Maze in the Mirror」「Eternally」と不穏な雰囲気の曲が続く。白いシャツを着ていたメンバー達が全身黒い衣装に身を包み、いわゆる“闇堕ち”していくような、さらに破滅的で狂気的なイメージが続くVTRから、ペンライトの真っ赤な光で満たされたダークなステージ上でゴシック調の衣装に着替えたメンバー達が、バンドアレンジの「Can't You See Me?」「Opening Sequence」をしっとりとした雰囲気でパフォーマンス。最年長のYEONJUNと最年少のHUENINGKAIの“ヨンジュニズ”ユニットによる切ない別れの歌「Lonely Boy」の後は、ロマンチックになれない感情を表現した「Anti-Romantic」を蜘蛛の巣に絡みつく薔薇をイメージしたような強烈なビジュアルのスタンドマイクで歌い上げた。ラストは最新ミニアルバムから活動を終えたばかりの、初恋を失った少年が初めて暗い感情を知るタイトル曲「Good Boy Gone Bad」でコンサート本編を締めた。

 デビューから3年目の初のオフラインコンサートということもあり、曲選びは難航したとのコメントもあったが、「少年が成長していく様を表現した」というコンサート全体のコンセプトの通り、時系列を行き来しながらデビュー以降表現してきた、明るく清涼なイメージから暗く妖艶なイメージの姿まで、ストーリー性に富んだ多彩でコンセプチュアルな姿とパフォーマンスを見せてくれるセットリストだった。

 一方で、「先輩たちのコンサートで見てやりたかった」というペンライトウェーブは通常は終盤にやることが多いが、中盤にしっかり時間を取って組み込んでいたり、合間のMCではファンからのリクエストでメンバーのYEONJUNのラップパートをメンバー全員でモノマネする時間があったりと、コンセプトを離れて全身でステージ上からファンとの交流を楽しむメンバー達の素の飾らない姿も見ることができた。

 アンコールステージは、SOOBIN・BEOMGYU・TAEHYUNのユニットによる「Thursday's Child Has Far To Go」から。プロデュース作業に参加したメンバーのBEOMGYUも「ファンと一緒に盛り上がれたらいいなと思って入れた曲」と言っていたように、素に近いメンバーの魅力が感じられる、リラックス感のあるポップなパフォーマンスが魅力の楽曲だ。「『Wishlist』や『Dear Sputnik』みたいにファンと一緒に歌いたいと思ってパフォーマンスする曲がありますよね?」というYEONJUNの前振りからは、日本語バージョンも存在するキュートなファンソング「MOA Diary(Dubaddu Wari Wari)」。客席とサビの部分の振付とコールを確認しあい、会場が一体となる盛り上がりを見せた。

 ラストはファンによるスローガンイベントが行われ、「私たちの汗(;)が成し遂げた今日を覚えているよ」の文字を見たメンバー達が目を潤ませる場面もあった。最後の楽曲はスローガンのフレーズにも織り込まれていた「땀(;)汗)」。『The Dream Chapter: ETERNITY』の時期に公開されたサイトで謎解きをすると聴くことができる、ファンのためのシークレット楽曲だ。タイトルの通りにデビュー前から汗を流してきた練習生時代の日々とファンへの気持ちを綴った曲で、ファンと共にリアルで盛り上がれる喜びに溢れたコンサートの初日を締めくくった。

 リーダーのSOOBINが「韓国のMOAとはしばらく離れるけど、いつも皆さんがそばにいるつもりで世界中のMOAに良いエネルギーを伝えたい」とコメントしていたように、ソウル公演を皮切りにスタートしたワールドツアーは、7月7日からのシカゴ公演、9日ニューヨーク、12日アトランタ、14日ダラス、17日ヒューストン、21日サンフランシスコ、23日と24日ロサンゼルスなど米国内7都市で公演を行った後、9月に日本の大阪と千葉、10月にはジャカルタ、マニラ、台北、バンコクのアジアなど計14都市20公演行われる。今後はコロナ禍で制限されていた現地での活動も含め、よりワールドワイドな活躍が期待できそうだ。

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