BUMP OF CHICKEN、“君”に歌を届けた幕張メッセライブ 26年間そこに在った音楽を愛おしんだ時間

BUMP、幕張メッセレポ

 それにしても、「高度な石蹴り」とは言い得て妙だ。アンコールのMC。石蹴りや漫画など、夢中になれる遊びを共有していた千葉県佐倉市に育った4人が、いつの間にか音楽に夢中になり、バンドの認知が広がるにつれて、方眼紙で作ったバンドの看板が、重みのある鉄から強固なダイヤモンド、そして宝物に変化していった――という話の最中に藤原が冗談っぽいテンションで言ったその言葉。そこに深い意味はなかったと思うが、言葉を重ねてリスナーへの感謝を伝えたあと、「……だったら歌えばいいよね」と急遽「くだらない唄」を歌い始め、袖から慌ててやってきたメンバーもすぐに合流、4人で笑い合いながら演奏するその姿は、石蹴りしていたあの頃から何も変わらないものだったのではないだろうか。演奏後には、常にクールな表情でテンポキープしていた升も含め、全員がこの日一番の笑顔を見せる。

 前半に書いたように、一度世に放たれた以上、自分たちの鳴らした曲は、自分たちだけのものではなくなるという感覚がきっと強いバンドだ。しかしその一方で、彼らは今でもあの頃と同じ気持ちでステージに立っている。このバランスはBUMP OF CHICKEN特有のものであり、稀有なものであろう。そして、少年の心を忘れないまま、大人になることは可能なのだと自ら体現するロックバンドの存在は、確かに終わりに近づいていく私たちの希望になり得るものだ。

■セットリスト
1.アカシア
2.Hello,world!
3.天体観測
4.なないろ
5.ギルド
6.イノセント
7.Flare
8.銀河鉄道
9.リトルブレイバー
10.才悩人応援歌
11.Aurora
12.ray
13.ファイター
14.メーデー

En1.クロノスタシス
En2.木漏れ日と一緒に(未発表)
En3.ガラスのブルース
En4.くだらない唄

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