BUMP OF CHICKEN、25周年経てなお燃え続ける“炎”の煌めき

 BUMP OF CHICKEN(以下、バンプ)が、結成25周年を迎えた。バンプは藤原基央によるソングライティングや歌声に注目が集まることの多いバンドだが、おそらく旧友であり同志であるこのメンバーでなければ彼の才能も最大限には活かされなかっただろう。彼らの演奏には技術力や表現力というような尺度では測れない「言葉に表せない何か」が宿っているように感じて、それが多くの人の心を掴んだのだと思う。そして音を鳴らすことを心の底から楽しんでいることが伝わってくる。それが魅力的なのだ。

 作品を出すごとにバンドの進化を感じ取れることも、彼らの魅力である。インディーズ時代の1stアルバム『FLAME VEIN』はシンプルで青臭い演奏ながら、勢いと若さに溢れていた。2ndアルバム『THE LIVING DEAD』は全編物語形式の歌詞で1枚の作品としても物語性のあるコンセプトアルバムを制作した。そしてメジャーデビュー後最初のアルバム『jupiter』では、より大衆に向けて作り込まれたポップな楽曲が増え、プロのバンドとしての高いレベルへと進化した。『ユグドラシル』ではその方向性にさらに磨きをかけ、ロックバンドとしての確固たる地位を築いた。いつしかバンプは邦楽ロックシーンを牽引するバンドになり、影響を受けたフォロワーバンドが続々と出てくるようになった。「邦楽ロックバンドといえばこういう音楽」という雛形を作ったとも言える。確実にバンプが登場しヒットする以前と以降で音楽シーンは変わった。

『FLAME VEIN』
『THE LIVING DEAD』
『jupiter』
『ユグドラシル』

 しかしそれ以降もバンプは進化し続けている。配信限定リリースされた「ray」では初めてフィーチャリングアーティストとして初音ミクを招いた。ロックバンドとボーカロイドを接近させたことは日本の音楽シーンにおいて大きな影響を与えた。2021年現在、ボカロ文化を経由したネット発アーティストのヒットが続いていたり、それらの音楽が邦ロックと親和性のある音楽になっていることにも繋がる出来事の一つである。

BUMP OF CHICKEN feat. HATSUNE MIKU「ray」

 また打ち込みの音やシンセサイザーの音も積極的に使うようになり、音楽性の幅を広げたことも注目すべきポイントだ。「虹を待つ人」ではシンセサイザーの音がバンドの演奏と溶け合うように組み合わさっている。「Butterfly」では打ち込みの音がリズムの要となっており、それによってバンプの個性を生かしつつも、今までとは違う新鮮さを感じる音楽になった。新曲やアルバムをリリースするごとに新しい挑戦をして進化し続けているのだ。2019年にリリースされたアルバム『aurora arc』はそれらの集大成的な音色の曲が多く、ロックとしてもポップスとしても新しさと高いクオリティを持った作品になっている。

「虹を待つ人」
「Butterfly」
『aurora arc』

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