でんぱ組.inc、グループや自身と向き合ったZeppツアーレポ 色濃く感じられたポジティブなムード

でんぱ組.inc、Zepp DiverCityレポ

 でんぱ組.incのZeppツアー『お前らDEMPARKまで行くんだろ?乗りな!』が7月8日Zepp Namba公演でファイナルを迎えた。本稿では、6月11日に行われたZepp DiverCity(TOKYO)公演の模様をレポートする。

 2021年2月にグループ史上最多である5人の新メンバーを迎え、現在は9人で活動しているでんぱ組.inc。新体制初のワンマンライブ『Dear☆Stageへようこそ2021』では、今までになかったリードボーカル制の導入、新ユニットの結成や少人数でのパフォーマンスなど、人数が増えたからこそできる取り組みも多く見られた。それを経て開催された今回のツアーでは、でんぱ組.incの現在の長所を色濃く感じられる、強度あるパフォーマンスが披露された。

 歌詞通り〈ビリビリ〉〈バチバチ〉と漲るエネルギーを感じさせた「衝動的S/K/S/D」でライブはスタート。情熱的なパフォーマンスを披露しながらも、時折雰囲気の変わるキュートな振りと高音の歌声がギャップを見せる。BPM200という超アップテンポの「ギラメタスでんぱスターズ」では終盤の〈いち に さん し ご ろく しち〉と7人体制の当時を象徴する歌詞の〈しち〉を〈きゅう〉に替えて歌う粋なアレンジも見せた。この日は5人が加入してから初となる、全員分のキャッチフレーズを含めた自己紹介も行われた。各々のでんぱ組.inc加入前のキャリアも思わせる自己紹介に、オーディエンスもサイリウムを振って応える。

でんぱ組.inc

 「Kiss+kissでおわらない」「わっほい?お祭り.inc」と続けて披露された初期の楽曲では、これまでの歌唱の回数の違いなども相まってメンバーによって見せ方が異なるのも印象的。特に最年少メンバーである高咲陽菜は、甘さのある楽曲の中でもフレッシュな雰囲気を放ち、楽曲をより新鮮なものにした。「でんぱせいばぁ☆」では、落ちサビで〈そんなキミが大好きだよ〉のフレーズをセンターで歌う空野青空から、でんぱ組.inc加入以前のソロ活動を彷彿とさせる貫禄が感じられる。でんぱ組.incの現在の魅力は、こうした個々の見せ場の多様さからもみることができた。

 「くちづけキボンヌ」を愛らしく歌うと「初体験」でフェイクも織り交ぜながらおおらかな空気を作り、頻出するタイトルと同じ歌詞と目まぐるしく変わる曲調、早口な歌詞が癖になる「MIKATAせずにはいられないっ!」へ。新体制以降のでんぱ組.incの新曲は特にポジティブで素直な明るさを備えているが、ツアーを通して本人たちもよりポジティブな雰囲気を纏っており、それが楽曲の説得力を増大させる。

でんぱ組.inc

 「君も絶対に降参しないで進まなくちゃ!」でバトル風の振りを交えながら力強く背中を押すと、「でんぱれーどJAPAN」で後半戦のスタートを駆け抜ける。サマーチューン「プレシャスサマー!」、10周年バージョンで披露された初期からのライブ定番曲「Future Diver」、そして8色のリボンが美しくステージを彩った「でんでんぱっしょん」と、新体制に伴う変化を感じさせながらも力強くライブ定番曲を続けて本編を終えた。

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