でんぱ組.incが“幸せ”を届けられるのは成長の証 ちょうどいい距離感が深めるメンバー同士の絆

でんぱ組.inc、ちょうどいい距離感

 初期からライブでは定番となっているキラーチューン「Future Diver」を新たに10人の新体制で再録した「Future Diver(10th anniversary ver.)」に続き、新曲「好感Daybook♡」を配信リリースしたでんぱ組.inc。かつては〈マイナスからのスタート、舐(な)めんな!〉と吐露していた彼女たちが、新曲ではトロピカルなサウンドに乗せて、〈なんかめっちゃ優勝〉〈ハワイから見てもかわいい〉と自己肯定感を上げてくれるフレーズをハッピーなテンションで歌っている。11月13日に中野サンプラザで開催されたワンマンライブ特別公演『箱庭の掟』の話を軸に、新曲に込めた思いについて、藤咲彩音、鹿目凛、愛川こずえ、小鳩りあの4人に聞いた。(永堀アツオ)【インタビュー最後にプレゼント情報あり】

期待と不安と緊張が入り交じった、8人での中野サンプラザ公演

でんぱ組.inc ワンマンライブ 特別公演「箱庭の掟」(写真=チェリーマン)

——東名阪ツアーが中止となり、半年ぶりとなったワンマンライブの感想からお伺いしたいと思いますが、ピンキー(藤咲)はちょっと泣いてましたよね。

藤咲:いや、泣くはずじゃなかったんですけど、(古川)未鈴ちゃんとねもちゃん(根本凪)がお休みしている中で、初めて8人でパフォーマンスするっていうのもあって、期待と不安と緊張がいろいろ混じっていて。ホールは自分の中で思い入れが深いし、このメンバーで立てたことがすごく嬉しくて。しかも、それを楽しみにしてくれたみんながいてくれて。本当に心強かったんですよね。だから、1曲目から目がうるうるしてて。目の前にいたファンの方は「早くない?」っていう顔をしてました(笑)。初めて、終わらないでほしいって思ってしまうくらい、心にグッときたライブでしたね。

——ピンキーが真ん中に立っているフォーメーションがすごくしっくりきてました。

藤咲:緊張する場面も多いんですけど、今まで端っこというか、子分というか(笑)、メンバーの中の最年少というバランスでやっていたから、真ん中に立つのはいまだにソワソワするんですけど、MCでも「最前で頑張る」って言ったので、引っ張っていかなきゃって思ってます。

でんぱ組.inc ワンマンライブ 特別公演「箱庭の掟」(写真=チェリーマン)

——りあさんはどうでしたか?

小鳩:ホールでのライブが初めてだったので、どんな感じなんだろうっていう気持ちが大きくて。全然想像できなかったんですけど、いざ、本番を迎えてみると、すごく穏やかな気持ちでした。本番中も前回のワンマンに比べたら、緊張や不安、怖いなという気持ちもなくて。会場に足を運んでくれたり、配信を見てくれてる人にも「メンバーみんなで全力で頑張るよ。安心してね」っていう気持ちでできたのかなと思ってます。

でんぱ組.inc ワンマンライブ 特別公演「箱庭の掟」(写真=チェリーマン)

愛川:私はずっとハロー!プロジェクトさんが好きで、中野サンプラザにライブを見に行ったりしてたんですよ。だから、中野サンプラザで自分たちのワンマンライブができるっていうこと自体がすごく嬉しくて。始まる前からワクワクしていたし、終始、すごく楽しい時間でしたね。

鹿目:レッスンを詰め詰めでやっていたので、「いっぱい稽古してきたから自信を持ってやれる舞台」みたいな気持ちでやらせていただきました。今回は“世の中はこういう状況だけど、この箱庭の中だけでは幸せでいたいよね”というテーマになっていて。ライブの瞬間だけでも、ファンの方を幸せ、元気にしたかったんですね。だから、ワンマンを盛り上げたいという気持ちで、告知動画を作ってみたり、メンバーのみんなに撮影に協力してもらったり、「でんぱちゃん日記」というイラストを書き始めてみたりして。今までワンマンに向けたレッスンを頑張ってきたけど、今回、別の形でも準備ができて、喜んでもらえたのがよかったなって思います。

でんぱ組.inc ワンマンライブ 特別公演「箱庭の掟」(写真=チェリーマン)

——アンコールを含めて全22曲を披露しましたが、特に印象に残ってる曲をあげてもらえますか。

愛川:ディアステージに来てから、でんぱ組のライブを見学させてもらったりしてたんですけど、その時から「NEO JAPONISM」がすごく好きで、ずっと「踊ってみたい」って言ってたんですよ。だから、今回のセットリストにあって嬉しかったんですけど、体力的にすごくしんどくて……。

小鳩:しんどかったです!

藤咲:私も「NEO JAPONISM」ですね。今年に入って(産休中の古川を除いた)9人体制でやってきて、久しぶりに6人でやることになって。あ、懐かし! って感じになって。

——りささん(相沢梨紗)とりとくん(天沢璃人)以外の6人バージョンになってました。

藤咲:元々は、チャペ(の泉)の3人にひなちゃんを加えた4人でやるっていう話もあったんですよね。

鹿目:あれ、4人だと絶対に辛いから。一番ができたら上等くらいの感じだよ。

藤咲:だから、ぺろりん(鹿目)、あおにゃん(空野青空)が入ってくれて助かったんですけど、それでも、久しぶりに6人でやると、「こんなにステージは広かったのか!」「こんなにキツかったのか!」って感じて。久しぶりにやったフォーメーションの感覚が本当に広くて。めっちゃ走ってましたね。

小鳩:こんなに移動するんだ! って思いました。

藤咲:「あ、これやってたわ~」ってむかしを振り返るみたいな。まだ現役なんですけど(笑)、なんか懐かしいなと思いながらやってましたね。特にチャペは踏ん張りどころでもあったから。

小鳩:私は1曲目「プリでん」(「プリンセスでんぱパワー!シャインオン!」)ですね。だいたいいつも、リズムが走っちゃうんですよ。1番のサビで私とりとくんが社交ダンスみたいに踊る振り付けがあるんですけど、リズムが走っていたのがりとくんに伝わったんですよね。そしたらりとくんが背中をトントンってずっとしてくれてて。

でんぱ組.inc ワンマンライブ 特別公演「箱庭の掟」(写真=チェリーマン)

——カッコいい!

小鳩:そう! 配信でもちらっと映ってました。あれは王子様でしたね。

鹿目:りとくんが聞いたら喜びそうだな~。一番最初のお披露目の時は楽屋で泣いてたのに。

藤咲:めちゃくちゃ泣いてたよね。

鹿目:そこからの成長を考えたら感慨深いですね。私はぜーんぶ終わって、アンコールの最後の「キボウノウタ」でファンの方の顔をじっくり見ながら歌えたのが本当によかったなと思っていて。私、幸せすぎて、最後のユニゾンの時にマイクを忘れて歌ってたっていう(笑)。

藤咲:あれだけ練習したのに!

ぺろりん、チャペの泉……それぞれのターンを振り返って

でんぱ組.inc ワンマンライブ 特別公演「箱庭の掟」(写真=チェリーマン)

——(笑)。ここからそれぞれのメイン曲についてお伺いしたいと思います。みんなお待ちかねの「ぺろりんのターン」は「キラキラチューン」でした。

鹿目:今回はソロでメイン曲のような形でいただきました。Yumiko先生が私の性格をいろいろ読み取ってくれて「ぺろりんは楽しくなって、良かれと思ってやりすぎちゃうところがある。やっちゃったなと反省して、結局はみんなが呆れながらも助けてくれるよね」って。そういうパーソナルな部分をフリのなかにうまく入れてくださって。

——みんなの歌割りを取る様に笑いが起きてました。

鹿目:大爆笑してくれたんですけど、感動したとも言ってもらえて。自分のキャラクターやパーソナルな部分を引き出してくれたYumiko先生には大感謝してます。

——空回りすればするほど喜びますよね、みんな。

鹿目:私が空回って、それを受け止めてくれるメンバーがいて。普段、メンバーに助けてもらってるんだなというのを実感したし、今までは私が喋ると空気が変わっちゃうっていうのがコンプレックスで、怖かったんですよ。でも、周りのみんながいい方向に持っていってくれてて。変に転がっちゃうのを自分で戻さないといけないと思っていたんですけど、Yumiko先生にも「みんなが受け止めてくれるから、ぺろりんは転がったままで大丈夫だよ」って言ってもらえて。もちろん、一人でのお仕事の時は立ち止まらないといけないんですけど、グループでいるときは、みんなに頼ってもいいんだなと思って、ありがたい環境だなと思いました。

藤咲:ぺろりんが私をどかす場面があるんですけど、リハではすごく柔らかいソフトタッチだったんですよ。それじゃ動けないから「もっと強めにきて」って言ったら、本番で思い切り突き飛ばされて。

鹿目:あはははは。あの場面のスクショがやばくて。ぴんちゃん、すごく飛んでました。

藤咲:いいぞいいぞって思って。ぺろりんが自信を持ってやれているのがいいなと思ったし、私もちゃんと怒って、物語として完結させることができる。それがでんぱ組らしさでもあるし、ぺろりんの立ち位置も少しずつ確立できてるんだなって感じましたね。だから、転がり続けてください。見守ってますから。

鹿目:ふふふ。信頼ってこういうことなんだなって思いました(笑)。

でんぱ組.inc ワンマンライブ 特別公演「箱庭の掟」(写真=チェリーマン)

——(笑)チャペの泉は新曲「愛♡舞☆ミライ!」の初お披露目がありました。

愛川:セトリが怒涛だったんですよね。だから、初お披露目を味わうというよりは、結構、必死に歌ってました。どうだった?

小鳩:同じく。私、ここが山場でした。ここを乗り越えて、ちょっと頑張らないと、みたいな。ここが一番の踏ん張りどころだなって。

鹿目:カニもやったしね。

小鳩:そう、カニもやったし。

藤咲:いや、カニはええのよ。みんな、ワンマンの感想を聞くとMCでやったカニのものまねが出てきて。いや、ちゃうがな!って。

小鳩:でも、カニの回収も緊張してました。

愛川:カニをやって突っ込むっていうMCが不安で。だから、私、その場面だけ映像を見てないです。体力的に大変な「NEO JAPONISM」があって、カニを回収するという大仕事からの「愛♡舞☆ミライ!」っていう。

小鳩:結構ドタバタでしたね。

愛川:チャペの曲は振り付けも細かいですし。

藤咲:でんぱ史上最も怒涛でハードなセトリだったんですよ。でも、私は「愛♡舞☆ミライ!」はゆるかな気持ちでできて。ファンの人がサイリウムを青とピンクとライトグリーンにしてくれてたのに気づいたんです。そこで、「あ、今、チャペのターンか」って落ち着けたんですよ。我に返ったみたいな。

——3人で背中をくっつけて回るフリもありましたね。あれも信頼感がないとできないですよね。

鹿目:あれ、めっちゃ好き。裏で、ひなちゃん(高咲陽菜)とあおにゃんと3人でやってた。

藤咲:やってたんかい!

小鳩&愛川:知らなかった(笑)。

藤咲:あれもいっぱい練習して。普段の振り付けではメンバーに触ることはあまりないから、ずっと確認してるよね。いるよね? って。

鹿目:一人でも裏切ったら倒れちゃうからね。

藤咲:3人で回ってるんだなって確かめ合う。そこでも絆が生まれてますね。

鹿目:いや~、すごく頑張ってるなって見てたよ。

愛川:あははは。お母さんみたいに。

鹿目:とにかく、チャペのダンスを見るのが大好きだし、MVも見てたから。袖で水を飲みながら、カニ真似をやった私とひなちゃんとあおにゃんで応援してましたね。

藤咲:ぺろりんはメンバーいちチャペの曲を歌ってくれてるんですよ。「聴いてくれてありがとう」という気持ちですね。

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