Tani Yuuki、宇多田ヒカル、Snow Man……2022年上半期チャートから見える“令和型”ヒットの法則

傾向③「ジャニーズが示す平成=令和ハイブリッド型ヒット」

 ジャニーズは常に時代の空気を読んでいる。ある時は作品やクリエイティブに反映し、その時代を代表する楽曲ヒットを量産してきたが、令和に突入するとSNS含めマーケティング手法も柔軟になり、平成型と令和型のハイブリッドともいえる戦略が展開されているように感じる。

 特にSnow Man「ブラザービート」(シングルセールスチャート1位)は、平成型と令和型のヒットの要素が詰め込まれていて興味深い。平成型としては、大ヒットアニメ『おそ松さん』の実写版、2次元発の大人気キャラクターをSnow Man自身が演じ大ヒットとなった同名映画の主題歌としてのタイアップの実現である。そして令和型として本作は、TikTokでも振り付け動画が拡散し、ジャニーズファンの枠を超えて楽曲が浸透した。

 令和型ヒットはメジャーもインディーズも関係なく、新旧問わず、何曲もストレスなく聴くことのできる耳の肥えたリスナーによってSNSを通じて拡散されていく。そこでは、数秒勝負といえる歌詞も含むサビのキャッチーさ、ユーザーがあげている動画とのマッチング感が重要である。ヒットのチャンスは平等だが、ヒットチャートに躍り出るには、そんな幾層もの条件の壁を突破していかないとならない。そんな中での有効ツールとしてのTikTokは令和型のヒットの法則として今まさにここで定着したのではないだろうか。

※1:https://www.billboard-japan.com/special/detail/3558

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「音楽シーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる