日向坂46 渡邉美穂、“ハッピーオーラ”体現した5年間の集大成 メンバー22人が勢揃いした愛溢れる卒業セレモニー

日向坂46、渡邉美穂卒業セレモニーレポ

 6月28日に開催された日向坂46『渡邉美穂 卒業セレモニー』は、日向坂46にとって初めて卒業メンバーを送り出すイベントだっただけでなく、グループを離れる渡邉美穂の魅力を最大限にアピールする絶好の機会となった。

 日向坂46のメンバー22人が有観客ライブで勢揃いするのは、実はこれが初めてのこと。2020年2月に新三期生の髙橋未来虹、森本茉莉、山口陽世が加入してすぐにコロナ禍に突入し、久々の有観客公演となった昨年の全国アリーナツアー『全国おひさま化計画 2021』や同年12月の『ひなくり2021』では小坂菜緒が欠席、今年3月末に行われた『3周年記念MEMORIAL LIVE 〜3回目のひな誕祭〜』も濱岸ひよりが休演。その他の無観客ライブでもメンバーの休養などが重なり、なかなかフルメンバーでのライブが実現せずにいたが、日向坂46イズムの象徴ともいえる“ハッピーオーラ”を地で体現してきた渡邉のラストステージに、メンバーが勢揃いするというのはなんとも感慨深いものがある。公演中、彼女自身も「ラストステージで奇跡のように全員が揃うのが、『私、持ってるなぁ』と思います(笑)」と口にしたが、もしかしたらこの奇跡は彼女だからこそ成し得たものなのかもしれない。

 『渡邉美穂 卒業セレモニー』は渡邉の約5年におよぶアイドル人生を総括するような内容で、フル尺でのライブとは異なり映像パートでの過去の振り返りやバラエティ色の強いメンバー参加企画なども用意。開演前の影アナを渡邉、富田鈴花、松田好花からなる仲良し3人組ユニット“ごりごりドーナッツ”が担当したほか、イベント本編も渡邉をフィーチャーしたユニット曲や全体曲が多数セレクトされるなど、メンバー全員にスポットの当たる普段のライブとは一線を画するものがあった。

 イベントはけやき坂46時代の「ハッピーオーラ」から華々しくスタート。渡邉がフロントに立ち、グループにとっても大きな意味を持つこの曲で自身のラストステージの幕開けを飾るにあたり、大きな意味を感じずにはいられない。その後はMCや映像パートを挟みながら、加藤史帆&上村ひなのとの“リスペクトスリー”による「やさしさが邪魔をする」、金村美玖と丹生明里からなる“カラーチャート”の「あくびLetter」といった渡邉参加ユニット曲が次々に披露されていく。また、金村と富田、松田による活動初期を振り返る映像から詩の朗読を経て、久しぶりに9人勢揃いした二期生が「半分の記憶」「沈黙が愛なら」を披露。「沈黙が愛なら」は意外な選曲に思えたが、その歌詞を追うとこの日にマッチしていることに気づく。それもあってか、パフォーマンス中の9人からは笑顔と涙が入り混じった複雑な心情が感じ取れた。

 その後、一期生の齊藤京子、佐々木久美、高本彩花が演技を通じて渡邉との思い出を振り返るVTRを上映。その流れでメンバー出演ドラマ『DASADA』(日本テレビ系)の主題歌「青春の馬」へと突入し、エモーショナルさが一気に加速する。曲中の小坂が濱岸の手を取って前に出る振り付けも、この日は小坂が渡邉の手を取り一緒に踊る粋な計らいが用意され、イベント前半のクライマックスを迎えた。

 バラエティに強い日向坂46らしく、イベント中盤には渡邉に関したクイズで一期生と三期生が競う企画を実施。勝ったチームは期別曲を渡邉と一緒に披露できるという褒美が用意され、2組は随所に笑いを散りばめながら真剣勝負に挑む。途中まで一期生が有利かと思えたが、最後に三期生が大逆転。結果、三期生4人と渡邉が三期生曲「Right?」を一緒にパフォーマンスするというレアなコラボを楽しむことができた。「ずっと三期生と一緒に踊りたかった」と喜びを隠せない様子の渡邉だったが、ステージ袖には彼女に視線を送り続ける一期生の姿が。影山優佳が「今日だけは先輩の圧力かけるから(笑)」と先輩風を吹かせると、渡邉にとって思い出深いドラマ『Re:Mind』(テレビ東京系)の主題歌「それでも歩いてる」を一期生と一緒に披露。彼女がけやき坂46に加入して間もない頃、心細くもひとりで一期生の中に飛び込んでいった5年前を考えると、この光景は一際胸に迫るものがあった。

 冠番組『日向坂で会いましょう』(テレビ東京系)で長く共演するオードリーからのサプライズメッセージを経て、イベントもいよいよ後半に突入。最新シングル曲「僕なんか」をフルメンバーでパフォーマンスしたのに続き、「NO WAR in the future 2020」「恋した魚は空を飛ぶ」とアゲ曲が連発される。後者は渡邉が参加する最後の二期生曲だが、その圧巻のダンス含め彼女のアイドル人生における集大成のように映った。さらに、けやき坂46時代から今日までライブには欠かせない「誰よりも高く跳べ!2020」でライブは佳境へ。普段ならキャプテンの佐々木久美が煽りを入れる中盤のブレイクパートも、この日は佐々木が渡邉をステージ前まで連れて行き、渡邉に「おひさま(ファンの総称)、跳べーっ!」と煽りを任せる一幕もあった。思わぬ絶叫で一瞬気が緩んだのか、直後に涙で顔を歪める渡邉。しかし、最後は彼女らしい笑顔で曲を締めくくった。その後、“アイドル・渡邉美穂”の軌跡を振り返るVTRを経て、白い新衣装に着替えたメンバーは渡邉をセンターに据えて「飛行機雲ができる理由」を披露。メンバーから渡邉へ、そして渡邉からメンバーへの強い愛や絆が伝わる表情やパフォーマンスからは一瞬たりとも目が離せず、気づけばイベント本編はあっという間に終了していた。

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