Ms.OOJA、歌い手視点で語るシティポップと昭和歌謡の魅力 泰葉や松原みきら往年の女性シンガーに惹かれた理由

Ms.OOJAが語る昭和歌謡とシティポップ

音楽は、年代というか、世代で聴くものなのかなと思います

ーー90年代のJ-POP史をしっかりとなぞっていますね(笑)。

Ms.OOJA:当時はシングルCDの時代ですよね。8センチの短冊のやつ。それをみんなで持ち寄って貸し借りしたり、テレビ番組で流れる音楽を覚えて歌ったり。そういう感じでしたね。

ーーCDを買うようになったのは。

Ms.OOJA:もう少し後ですね。いわゆるビジュアル系バンドがすごく流行っていた時に、L'Arc〜en〜CielやGLAY、LUNA SEAにはまって、その後に宇多田ヒカルさんやドリカム(DREAMS COME TRUE)を聴くようになりました。私はやっぱり、J-POPの王道が好きなんですよね。でも、そこからR&Bという音楽があるって知って、「マジかっこいいな」って思って、そこからヒップホップやR&Bを聴き始めるんです。ダンスも習い始めて。

ーーダンスを習い始めたのはいつですか。

Ms.OOJA:高校生の時ですね。ストリートで親切に教えてくれる人がいたんですよ。そこに通うようになって。でも、ヒップホップとか全然踊れなくて。ただ音楽が好きで、歌うのが好きで、カラオケが好きで。高校生の時は、毎日のようにカラオケボックスに行っていたので、「歌いたい、歌手になりたい」という夢がずっとあって。それで、ダンスイベントのダンスとダンスの合間に「歌ってみたら?」みたいな感じで誘ってもらったのが、本格的に歌を始めるきっかけになったんです。

ーー洋楽はどういったものを聴いていたんですか。

Ms.OOJA:ダンスを通じて主にR&Bを聴き始めました。当時は、TLCやDestiny's Childみたいなダンサブルな音楽が流行っていたんですけれど、私はアリシア・キーズやメアリー・J.ブライジが好きで。ちょっと哀愁系なんですよね、そこも。歌い上げるタイプの、哀愁のあるメロディを持った音楽に惹かれて聴いていましたね。

ーーダンスを始めて、洋楽を聴き始めたら、J-POPは聴かなくなったんですか。

Ms.OOJA:そこからは聴かなくなったんですよ。「J-POPなんてダサイわ」みたいなモードになって。洋楽を聴いている自分がかっこいい、みたいな(笑)。そんな感じになって。でも、宇多田さんやドリカム、AIさんとかは聴いていたし、カラオケで歌っていました。

ーーでは、アルバム『流しのOOJA』でカバーしたようなシティポップや歌謡曲を再認識したのはいつ頃ですか。

Ms.OOJA:それは本当に最近なんです。デビューの頃からJ-POPのカバーはしていたんですけれど、歌謡曲やシティポップということでいうと、ここ3、4年くらいじゃないですかね。10年くらい札幌でFM番組のレギュラーをやっているんですけれど、行きつけのミュージックバーがあるんです。そこでアナログをかけてもらって、「OOJAはこの曲を歌ったらいいと思うんだよね」みたいなことを聞きながら、勉強していたんですよ。前はそんなにピンとこなかったんですけど、3、4年ほど前から急に「めちゃめちゃいいな」と思うようになって。多分、年齢的なこともあるのかなと思うんですけど、アナログで聴く歌謡曲、歌謡ポップスの良さに気付いて。いつかこういう曲を集めたカバーアルバムを作りたいなと。

ーー札幌のバーで聴いていた曲というのは、『流しのOOJA』に入っているような感じですか。

Ms.OOJA:まさにそうなんです。マスターがこういった曲をすごくたくさん聴かせてくれたんですよ。でも「想い出のスクリーン」もそうなんですが、「あれ、この曲知ってる」みたいなことが多くて。タイトルを見ても全然わからないんだけれど、聴いたら全部歌える、みたいな。目から鱗が落ちるような感覚でした。

ーーよく覚えていましたね。

Ms.OOJA:そうなんです。不思議な感覚なんですけれど、30年以上聴いていないはずなのに、歌えるんですよ。

ーーそれはよっぽど歌っていたということでしょうね。

Ms.OOJA:歌っていたんでしょうね。まだ言葉も拙いくらいの幼い頃だと思うんですが、その頃に繰り返し口にしていた言葉がこの歌だったんだろうなと。私は今30代でこれから40代に突入していくんですけど、徐々に考え方とか自分の好きなものとか、そぎ落とされてシンプルになっている感覚があるんです。それで、全部むいていったら残るものが、このあたりの曲だったんですよね。

ーー思春期に聴いていたJ-POPではなく、幼い頃の記憶の歌謡曲なんですね。

Ms.OOJA:いや、それもそこから始まっているんだなとすごく感じるんですよね。その後に好きになった曲とかも、自分の中ではつながっているんですよ。だから、何の違和感もなく聴けたというか。だから、音楽は、年代というか、世代で聴くものなのかなと思います。例えば、歌謡曲や演歌をずっと好きな方もいらっしゃると思うんですけど、大人になってきてわかる良さもありますよね。幼少の時に聴いていて、そこからいったん離れていったのは、世代によって聴く音楽が変化していくんだなと思ったんですよ。時代じゃなくて、世代。10代の時にバンドやビジュアル系の音楽を聴いていたのは、多分10代だからだろうなとか。ヒップホップも、20代だから聴いていたんだろうなとか。最近は演歌もいいなって思います。そんなことは20代の頃だったら絶対思わなかったけど、歌番組などで演歌の方々とご一緒する機会が増えたということももしかしたらあるのかもしれないですけど、「沁みるなあ」っていう感覚は、私が演歌や歌謡曲を聴く世代になってきたからなのかなと感じたりしますね。

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