神はサイコロを振らない×Rin音、音楽で“世界平和”のメッセージを発信する使命感 コラボ曲「六畳の電波塔」に込めた願い

 4人組ロックバンド、神はサイコロを振らないがラッパーRin音とコラボした新曲「六畳の電波塔」が配信リリースされ話題となっている。アユニ・D(BiSH/PEDRO)、n-buna(ヨルシカ)をフィーチャーした「初恋」、キタニタツヤと共に作り上げた「愛のけだもの」に続く、コラボ第三弾となる本作は戦争やパンデミック、それに伴う人々の対立や分断に警鐘を鳴らすメッセージソング。第三次世界大戦後の荒廃した世界が舞台という、SF仕立ての歌詞世界だが、そこには“歌で世界を救いたい”というボーカル柳田周作の熱い思いが込められている。

 福岡で結成された神サイと、今も福岡を拠点とするRin音。お互い共通点もありながら、これまで全く面識のなかった2組は一体どのようにしてこの感動的な楽曲を作り上げたのだろうか。(黒田隆憲)

「六畳の電波塔」は神サイにとって初めてに近い試み(柳田)

神はサイコロを振らない×Rin音「六畳の電波塔」【Official Audio】(KAMI WA SAIKORO WO FURANAI × Rinne ‘The Radio Transmitter’)

ーー今回のコラボは、柳田さんの初夢がきっかけで実現したそうですね。

柳田周作(以下、柳田):そうなんです。2022年の初夢が、Rin音くんと曲を作って一緒に歌っているというもので(笑)。思えば去年夏にアユニ・Dさん、n-bunaさんと「初恋」を、キタニタツヤと「愛のけだもの」を一緒に作って、それがバンドにとっても非常に刺激的だったし、それまで神サイを知らなかった人に対しても入り口が広がった気がして。なので、「今年もまたコラボをやろう」という話になって真っ先にRin音くんにオファーしました。二つ返事で快諾してくださって本当に嬉しかったです。

ーーそれまでは面識もなかったそうですが、お互いについてはどんな印象でしたか?

吉田喜一(以下、吉田):Rin音くんは、「ラッパー」と聞いて想像していたイメージとは違って、実はすごく等身大の歌をポップに歌う人なのだなというところにまず驚きました。

桐木岳貢(以下、桐木):声もすごく優しくて安心感がありますよね。

黒川亮介(以下、黒川):でもYouTubeなどでラップバトルの動画を観ると、印象がまた全然違う。さすが叩き上げのラッパーはスキルがすごいと思いましたし、バトルでも時おりメロウな曲を披露することもあって、そういうところは他のラッパーとひと味違うなという印象を持ちました。

柳田:Rin音くんの楽曲の中に「LOW BATTERY BOY」という曲があるんです。その中の、〈また夜が来る もう嫌気が差す 世が怖くなる〉というフレーズがものすごく心に刺さったんですよね。ちょっと憂鬱でネガティブな感情を、ポップでメロウなメロディに乗せているところがすごく面白くて。神サイの楽曲は、それとは正反対というか。暗い歌詞には暗いメロディや暗いサウンドを付けていたし、逆に明るい歌詞には明るいメロディやサウンドを付けていることが多かったので、Rin音くんのそういうギャップのある曲作りは「真似したい!」とすごく思ったんです。

LOW BATTERY BOY - Rin音 (Official Music Video)

ーーなるほど。

柳田:今回、Rin音くんと一緒に作った「六畳の電波塔」は、そういう意味では神サイにとって初めてに近い試みでした。歌っていること自体は「世界平和」「ラブ&ピース」というシリアスな内容ですが、それをあえて4つ打ちにキャッチーなメロディ、そしてRin音くんのラップで仕上げている。そこは「LOW BATTERY BOY」から受け取ったアイデアでもあるんですよね。

ーーRin音さんは、神サイにどんな印象を持っていましたか?

Rin音:柳田さんが今おっしゃったように、全体のグルーヴ感とリリックが合体して、一つの曲としての世界観を強固に仕上げているところが神サイさんの魅力だと思いました。しかも歌詞のテーマやモチーフが、僕のやっていることと少し似ているというか。感情の浮き沈みみたいなものが、もしかしたら柳田さんと僕は似ているのかなと。今回のコラボはリモートでの作業が多かったのですけど、歌詞については一つの世界観としてちゃんとまとまるだろうなと確信していました。

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