カネヨリマサル、Conton Candy、リツカ……新進気鋭のガールズバンドが宿すロックの美学
リツカ
「リツカ」。カタカナ3文字というキャッチーさが何となく、昔懐かしい駄菓子などに由来していそうなバンド名が目に留まった。いざ触れてみると、自分の弱さと対峙するような歌声、ありのままの感情を吐露した歌詞に、心が揺さぶられた。
リツカは広島を拠点に活動中のバンド。ふじなかみり(Vo/Gt)、こうのゆめ(Ba/Cho)、つちながあいか(Dr/Cho)の3名で構成される。各楽器のテクニカルなフレーズや変則的なアレンジは求めず、あくまでふじなかの歌声にフォーカスさせることへのこだわりを貫く。先ほど名を挙げたConton Candy同様、前ボーカルの脱退を経験し、紆余曲折を経て現在の3ピース体制に至る。
ボーカル脱退により解散の危機に直面した際に「こんな終わり方は自分たちが思うロックではない、それなら私が歌えばいい」と漢気を見せた人物こそが、ドラマーから転向した現ボーカルのふじなかだ(※1)。直球の言葉でありのままを歌うブレない音楽性には、彼女のロックンロール魂が宿っている。
〈向き合えよ もっと もっと もっと/強くなれよ〉 (「そんなことは言えない」より)
こうした自分自身に喝を入れるようなフレーズは、彼女自身のお守りとなっているのだろう。ただ真っ直ぐに突っ走るだけでなく、現実と向き合いながら生きていこうとする姿勢こそ、リツカのバンド像そのものではないだろうか。
同じく3ピースバンドのHakubiは22歳の等身大の心情を歌った「22」を代表曲に持つが、リツカにも同タイトルの楽曲が存在する。変わりたくても何も変わらない日々で焦燥を感じながらも、高らかに希望を歌う。〈悔しんだ 追いかけた夢/このままでは終わらない〉というラインは、ロックバンドの美学がぎゅっと凝縮されているようで、輝かしい。
3組に共通するのは、形はそれぞれ異なるが、ブレない音楽性が構築されている点。彼女たちがシーンを担う重役として語られる日はそう遠くないのかもしれない。
※1:http://uroros.net/eventnews/85263/