新連載「lit!」第4回:恋汐りんご&望月みゆユニット、神宿、フィロソフィーのダンス……サウンドを楽しみたい女性アイドルの新譜

 みなさま、アンニョンハセヨ。K-POP番長というニックネームを持つ、音楽ライターの“まつもとたくお”と申します。好評連載中の「lit!」で、私がピックアップするのは日本の女性アイドルグループの新譜。「なんでお前が!」とツッコミが入りそうですが、実はそっち方面の取材もK-POPと並行して地道に続けております。とにかく「ちょっと違う立ち位置の人はこう見るのか」的な感じで気楽にお付き合いいただけると嬉しいです。よろしくお願いします!

Chou Chou Cream『Chouquette』

 記念すべき初チョイスはこちら。バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHIのメンバー、恋汐りんごと望月みゆによるユニットのミニアルバムです。どの収録曲もソフト&メロウで最高なんですが、なかでもお薦めしたいのは「ポピポパワンダーランド」。高速BPMでどんどん場面転換するサウンドメイクはめずらしくないものの、ライブハウスでファンが踊る様子をイメージした熱いアレンジを加えたおかげで、このユニットならではの持ち味が完成しています。生演奏を前提としていないバスドラムの連打とシンセの早弾きも個性的で、100点満点中100点をあげたい気分。特にサビにやられました。レゲトン風の慌ただしいリズムと「今すぐ踊れ~!」とあおる歌詞を組み合わせたら、フロアは大揺れでしょう。

ポピポパワンダーランド

SAKA-SAMA『ライラック・ランデブー/E.S.P.』

 メンバーのビジュアルやキャラクターの好みは人それぞれ。この連載ではあくまでもサウンドで選んでいこうと思っております。で、今回の楽曲派アイドルNo.1は彼女たちでしょうかね。家族・友達・恋人など、周囲の人たちと付き合っていくことのむずかしさを表現した繊細な歌詞を真っすぐなボーカルで丁寧に歌いあげる、その真摯な姿勢に惹かれました。余韻のある音作りもぐっとくるものがあり、もっと知られてほしいグループだなと痛感した次第。メンバーの脱退や卒業を経て、現在は寿々木ここねとサポートメンバー・朝倉みずほの2名体制に(朝倉は7月のワンマンで活動終了予定)。そんな状況でも他とは違うポジションを手に入れているのはすごいな、と。応援しますよ!

SAKA-SAMA 新曲「ライラック・ランデブー」
E.S.P.

神宿「#前に進む唄」

 「そうそう、アイドルはコレだよ、コレ」と膝を打った原宿発の4人組・神宿の新曲。爽やかなコード進行、うなる太いベース、前のめりのドラミング、清潔感のあるストリングス。これらをバックに愛と青春を高らかに歌う素晴らしさ。‘渋谷系第三世代”とも言われるバンド・TWEEDEESの沖井礼二が得意とする手法で、彼はこのアプローチでRYUTistを筆頭に女性アーティストをたびたびプロデュースしていますが、「#前に進む唄」も、作詞家・作曲家は違えど似た方向性の曲。歌詞もよくできています。〈瞬きのこの時代(とき)に同じ夢見ていることが奇跡なんだ〉とキュートに歌われると、聴いている側は一生ついていく覚悟になるはず。アイドルの美学がたっぷりしみ込んでおります。

神宿 KAMIYADO "#前に進む唄" MV

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