相手のことを知ろうとする気持ちはきっと向こう側に届く

ーー『TICKETS』は音楽的な広がりだけではなくて、フロウの面でも前作からの進化が大きいように思っていて、歌とラップの組み合わせの気持ちよさもさらに増しているように感じました。

竹内：曲全体として歌からラップによりスムーズに移行できるように、というのは今まで以上に考えていました。そのための言葉の並べ方は結構気にしました。あとは曲ごとに演技をするというか、歌い方やキャラクターを曲に合わせて切り替えられたかなとは思っています。

ーーなるほど。「演技」というのは腑に落ちるというか、歌い方とサウンド、それに歌詞の組み合わせで曲としての感情表現が豊かになりましたよね。歌詞だと〈ケチつけんならいっそケリつけろ〉（「我愛me」）とか、すごくいい表現なのでパクらせてもらおうと思ったくらいで（笑）。

竹内：ありがとうございます（笑）。

ーー「ICE CREAM.」に関して天井を取っ払えたというお話もありましたが、言葉の選び方も含めて振り切ったものにしようというような意識はありましたか？

竹内：それはありましたね、すごく。聴いてくださる方を外に連れ出そうというのであれば強い表現も必要だなと思ったのもありますし、あとはコンセプトに関係なく自分としてもそういうものを作りたかったというか……「思ったことをそのまま書いてもいいじゃん？」みたいな（笑）。今触れていただいた「我愛me」は、たぶん初めて自分が怒った状態のまま書いた曲なんです。喜怒哀楽の「怒」を表現した曲が今までなかったんですけど、前作の頃は「寄り添う」ということを特に意識していたのもあって、あんまり自分の怒りをさらけ出さない方がいいのかなと考えていたんですよね。でも、誰しもがそういう感情になる瞬間があるはずだし、ただきれいなだけではない荒々しい部分に惹かれるということもあると思って、そのままの感情を言葉にしました。「我愛me」は気に入ってくださる方も多くて、気持ちをストレートに出した曲をそう受け取っていただけて良かったなと思っています。

ーーそうやってご自身の感情が赤裸々に描き出された曲もある一方で、「Love Your Love」のように聴き手のことを力強く肯定するメッセージが込められた曲もあります。

竹内：「Love Your Love」には自分自身も助けられた部分が大きかったので、リリースは少し前（2020年10月リリースの『at FOUR』に収録）なんですけど今回のアルバムにも収録しました。2020年の夏から秋くらいに作ったんですけど、まだ自粛ムードも強くてライブも思うようにできない時期で、制作もうまく進まなくて……苦しいと思うことが多かったんですが、自分がこれまでずっと好きだった音楽をこういう環境のせいで嫌いになってしまうのは悲しいなと思ったんです。それでノート1冊分くらい使う勢いでたくさん言葉を書き綴って、自分の気持ちを整理してできたのがこの曲です。「好きなものは好き！」という気持ちってその人がその人らしくいるためにすごく大事だし、そういう感情を肯定できる曲になっていたらいいなと思っています。

ーー自分の感情をさらけ出すことと聴き手を肯定すること、どちらも誰しもをひとりの人間として認めるというような考え方につながっているように思います。「手のひら重ねれば」の〈解り合えないことがあっても 分け合うことはできるはずでしょう〉というラインも象徴的だなと。

竹内：今はいろいろな意見がすぐに飛び交って、それで誤解が生まれるような状況になりがちだと思うんですけど、もし相手のことを全部理解できなかったとしても「知ること」はできると思うんです。「+imagination」でも反対側を想像することが思いやりにつながるということについて歌っているんですけど、そういう視点を持つことでうまくいくことってたくさんあると思うし、相手のことを知ろうとする気持ちはきっと向こう側に届くんじゃないかなと。今回のアルバムを通してそんなメッセージが伝わっているといいなと思います。

ーー最後にご時世的な質問なんですが、今回のアルバムのテーマでもある“旅”がますますしづらい社会になってしまうかもしれない状況が進行している中で、ミュージシャンとしてどう振る舞うか、音楽家として何ができるか、ということについてどのように考えていますか。

竹内：先ほどの話ともつながりますけど、まず個人としては知ることから始めないといけないと思います。そこから具体的な支援にもつながっていくと思うので。そのうえで、音楽家としては、やっぱりいろんなニュースを見てしんどく感じる方もいると思うんですが、音楽に触れている時くらいは少しでもハッピーになってほしいです。『TICKETS』はタイトルの通り聴いてくださる方を別世界に連れていけるようにと作ったので、たとえ短い時間であってもこのアルバムで明るい気持ちになってもらえたらいいなと思います。

■リリース情報
3月2日（水）発売
『TICKETS』
通常盤（CD）：¥5,500（税込）
初回限定盤（CD＋DVD）： ¥3,300（税込）
完全生産限定盤（初回限定盤＋CD＋DVD）：¥12,000（税込）
予約サイト：https://teichiku-shop.com/products/detail/TEI-243

＜CD＞
1. Intro: "Have a nice trip"
2. 一世一遇Feeling
3. 手のひら重ねれば (リードトラック)
4. YOU+ME=
5. +imagination
6. GOOD FOR ME
7. ICE CREAM.
8. いいよ。
9. 我愛me
10. No no no (It's about you)
11. Love Your Love
12. Now For Ever (with AFRO PARKER)
13. Outro: "Hope to see you again"

＜初回盤付属DVD＞
竹内アンナ BAND TOUR 2021 at TENDER (2021.06.27 @ LIQUIDROOM)
1. RIDE ON WEEKEND
2. SUNKISSed GIRL
3. B.M.B
4. 20 -TWENTY-
5. TOKYO NITE
6. If you and I were,
7. Golden Days
8. Striking gold
9. +imagination
10. I My Me Myself
11. Free! Free! Free!
12. ALRIGHT
13. Ordinary days
14. Love Your Love

＜完全生産限定盤CD＞
『TICKETS』インストトラック
＜完全生産限定盤DVD＞
竹内アンナ 1st ALBUM Release Tour『MATOUSIC』at ONLINE
1.ALRIGHT
2.SUNKISSed GIRL
3.20 -TWENTY-
4.TOKYO NITE
5.Midnight Step
6.B.M.B
7.RIDE ON WEEKEND
8.-interlude-
9.Striking gold
10.Love Your Love
11.+imagination
12. Free! Free! Free!
13.I My Me Myself

■ライブ情報
『TOUR 2022 -TICKETS-』
3月13日（日） SHIBUYA CLUB QUATTRO
時間：開場16:30/開演17:00
料金：4,700円（D代別）
各種SNS先行受付中（1/23まで）
https://www.sma-ticket.jp/artist/takeuchianna

Official HP　https://takeuchianna.com/
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