鞘師里保、復帰後に発揮するマルチな才能と愛され力 音楽・俳優・バラエティ各方面から寄せられるオファー

 4月16日よりスタートするテレビドラマ『俺の可愛いはもうすぐ消費期限!?』(テレビ朝日系)で、鞘師里保がモーニング娘。卒業後、初めて連ドラのレギュラーに抜てきされた。同作は、可愛らしさを武器に人生を渡り歩いてきた主人公・丸谷康介(Hey! Say! JUMP 山田涼介)の心境の変化を描くラブコメディ。鞘師は、康介の恋人・森保莉子を演じている。

 鞘師といえば2011年1月から約5年間、モーニング娘。の一員として活動。圧倒的なダンスパフォーマンス力を誇り、絶対的エースとしてグループを牽引した。2015年12月にグループを卒業し、フリーランスを経て、2020年9月より本格的に芸能活動を再開。以降は、ドラマ、舞台、テレビ番組への出演など幅広いジャンルで活動。2021年8月にはソロ歌手としてデビューEP『DAYBREAK』もリリースしている。

鞘師「ストーリー性のある人生が嫌いなんです」

 自叙伝『17歳の決断』(2016年/ワニブックス)のなかで鞘師は、モーニング娘。を卒業する理由のひとつとして、2014年10月におこなわれたグループ初のニューヨーク公演がきっかけとなったと明かしている。多種多様かつ新しいエンターテインメントが常に発信されているその場所で、パフォーマーとしての自分のあり方を考えるようになった。その思いが強まって、彼女はグループ卒業を決断したのだ。

 『モーニング娘。20周年記念オフィシャルブック』(2018年/ワニブックス)のインタビューでは、鞘師は「ストーリー性のある人生が嫌いなんです」と語っている。そういった彼女の経験とモットーが、特定の肩書きにこだわらず、マルチに活動する現在の原動力になっているように思える。

 俳優としても鞘師は、変幻自在の魅力をはなっている。とぼけたキャラクターから、若者らしい悩みを抱える人物まで、どんな役でもよく似合うのだ。

 特に印象的だったのが、出演ドラマ『あのコの夢を見たんです。』(2020年/テレビ東京)の第10話。仲野太賀扮する山里亮太が一目で心を奪われるヒロインを演じている。美しいダンスで山里の視線を釘付けにする一方、とにかくおっちょこちょいで、すぐに転げてしまうお茶目な人物像を体現している。

 この役のポイントは、劇中でも「鞘師里保」本人役をつとめているところである。物語のなかの鞘師里保も、自分の進路を模索していた。オーディションに臨もうとしているが、いまいち勇気が持てない。しかしそのとき、山里に一声をかけられて前へ進んでいく。夢に向かってがんばる姿は、芸能界復帰直後の鞘師自身の姿に重なるところがあった。また山里の台詞「(鞘師を見ていると)自然と笑顔になれる」は言い得て妙で、彼女のその豊かな表情はモーニング娘。時代からなにも変わっておらず、観ているこちら側も明るい気持ちにさせた。

 『シェフは名探偵』(2021年/テレビ東京)第7話の遥香役も、派手ではないが心に残っている。幼なじみと友人たちのあいだで板挟みになる大学生を演じた鞘師。幼なじみが周囲から利用されていることに悩み、なんとかしようと人知れずもがいているその姿は、現実で誰もがかかえる人間関係の葛藤をあらわしていた。視聴者にとっては親近感が持てるキャラクターだったのではないか。

 『准教授・高槻彰良の推察 Season1』(2021年/東海テレビ・フジテレビ系)の第5話では、何度も怪奇現象に直面する女性・桂木奈々子に扮している。奈々子は、声優になるという目標を持ち、自分が思ったことを行動にはっきりと移すタイプ。こちらも、グループ卒業後にニューヨークへダンス留学した鞘師に通じる部分がある。ラジオ『ヤングタウン土曜日』(MBSラジオ)で共演していた明石家さんまから「失敗しても選んだ道を行くのが人生。後悔が楽しい」と背中を押されて渡米した鞘師。その行動力は、同作の奈々子と近いものを感じる。

 鞘師の芝居は現実味を感じさせるものが多い。それは彼女自身であったり、誰もが思い当たるようなことだったりが役柄に込められているからではないだろうか。

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