日向坂46 渡邉美穂は“パイオニア”であり“ラスボス” 卒業発表を機に振り返る、グループ牽引したストイックなアイドル性
1期生 潮紗理菜はブログで「いつも周りを見てるところ、ちょっとおふざけをして笑わせているようにみえて実は周りへの気遣いが人一倍あって、、、みほには数えきれないくらい助けてもらってきました」と先輩に言われる人柄の良さ(※1)。バラエティでは、体力ネタが多いグループにおいて“ラスボス”と言われる渡邉は、運動神経が良い加藤史帆や東村芽依と対等に渡り合ってきた。また、先輩後輩に関係なくイジリあえる潤滑油的な存在でもあったし、大喜利的な企画では恐れずに変化球を投げ込むなど、何が求められているのかを瞬時に判断する頭の回転の速さを武器にバランサーとして活躍していた印象もある。
そしてライブでは常に全力で汗を流し、パワフルなダンスを披露。シリアスな時は真剣な眼差しを見せ、楽しい時は思いっきり笑顔に、心の中にある抑えきれない感情が伝わる表情で、見る者の心を揺さぶる。また歌声は透き通るような高音が素晴らしく、「やさしさが邪魔をする」では加藤史帆、上村ひなのという各期のエースと並んでユニットに選ばれている。現状センターに立ったことはないものの、小坂菜緒や金村美玖などのセンターを側で支える存在だった。ただ、先日の東京ドーム公演での「抱きしめてやる」は小坂の代理センターを担当。パワフルでエモーショナルな同曲にて、これまでのベストパフォーマンスと思える魂のこもった姿を見せていたが、苦しさの先にある儚さともとれる恍惚の表情の意味が、今回の卒業発表を聞いて分かったような気がする。オープニング映像では、濱岸ひよりの欠席を聞いた渡邉が泣き崩れるシーンがあったが、他のメンバー以上にこの地に22人で一緒に立ちたかったという思いがあったのだろう。
渡邉は何事も常にストイックで、全力でリクエストに答えてきた印象だが、あまりにもストイック過ぎて、時には高校球児のように号泣したり、度々メンタルブレイクするなど、アイドルという仕事と限界ギリギリで戦っていたようにも思う。2021年7月30日に放送された『ベルク presents 日向坂46の余計な事までやりましょう!』(TOKYO FM)では、アイドル活動を行う中での悩みを吐露。渡邉は常に現状に悩み、自分で答えを見つけるまで考え過ぎてしまう、器用に見えて自分に嘘をつけない不器用な人という印象を受けた。東スポチャンネルにアップされたインタビューで、「アイドル感のない人になれたらいいな」と告白した渡邉(※3)。女優をやる際にアイドルというフィルターが良い方向にも悪い方向にもかかり、出演した俳優たちと同じ土俵に立てていないと思う時もあると語っていた。もし本格的に女優を志すことを決めたのなら、アイドルからの卒業を考えることは不思議ではない。
渡邉の卒業は日向坂46にとって大きなダメージだが、4月3日深夜放送の『日向坂で会いましょう』の7thシングルフォーメーション発表の映像で「私にとってもグループにとっても本当に大事な節目のシングルになってくる この7枚目を良いものにできたらいいなって思います」と言う渡邉の表情には涙も迷いもなく、アイドルをやりきった真っ直ぐないい目を見て、決心はついていると確信した。富田がブログの締めに、「君のため何ができるだろう」を今聴いて欲しい1曲と綴っていた。その歌詞を改めて噛み締め、残りのアイドル人生をみんなで楽しみ、そして卒業していく渡邉の背中をそっと押していきたい。
※1:https://www.hinatazaka46.com/s/official/diary/member/list?ima=0000&ct=20
※2:https://www.hinatazaka46.com/s/official/diary/member/list?ima=0000&ct=2
※3:https://youtu.be/f9wvAHLYuzQ