マハラージャン、“心の傷三部作”完結を機に3曲を徹底解説 本格的なダンスに挑戦したMVの魅力も
ソウル/ファンクを基調とした、踊れるマハラージャン以外の側面で驚かせたあと、三部作の締めは3月24日に配信リリースしたばかりの「持たざる者」である。フュージョンテイスト強めのファンクナンバーだが、何より耳を引いたのはマハラージャンのボーカル表現力の向上だ。歌いだしの“ジェ・ジェ・ジェ・ジェ・ジェイソン村田”から〈何も持ってないけど〉までのいい意味でのイノセントなニュアンス、やや幼い声色で、まず建前抜きの純粋さを印象づけ、サビでファルセットに飛翔し、地声の高音とシームレスに行き来する歌唱で、歌詞通りに“俺はおまえが持ってるやつだって知ってるよ”、とばかりに力強く宣言する手法などは特にそうだ。これまで歌の巧拙より、まるで大人の作文めいた事実を積み上げていくタイプの歌詞と、現実的な歌詞によって享楽的なまでに踊るという奇妙な体験そのものが快感であったことに加え、ボーカリストとしての個性もパワーアップしてるのだ。
演者としての強度でいうと、しっかり振り付けがなされたダンスに驚嘆の声が上がったMVもそれを裏打ちしている。音楽が鳴るやいなや生き返ったように踊るマハラージャン、そしてジェイソンと村田を演じるダンサーKEINとkyamiの、ギリギリ「こんな人、社会人にいそう」な佇まいも計算され尽くされている。随所に挟まれるマイケル・ジャクソン由来と思われるつま先立ちや、カッコいい瞬間のモノクロのスチール的な演出など、まさに80年代MTVオマージュといった編集がなされており、笑いどころがしっかりあるのもさすがだ。ディレクションをストリートコンシャスな作家・マザーファッ子が手掛けていることにも関係するのかもしれない。
三部作のラストに、ファンが期待していたであろう踊れる楽曲をドロップし、自身も本格的なダンスで「本当は誰でも何かを持っている」ことを実証してみせたマハラージャン。オルタナティブなバンド/アーティストを一望できる『SYNCHRONICITY ‘22』への出演も迫り、そこでのリアクションも大いに気になる。夏に開催される初ワンマン『レッツ・ターバン!』は東京がLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)、大阪が心斎橋BIGCAT。音楽への執念と歓喜がないまぜになった第一章の集大成となるか、こちらも気になる。
■リリース情報
3カ月連続単曲配信
「先に言って欲しかった」
2022年1月15日 Release
https://maharajan.lnk.to/SakiNiItteHoshikatta
「比べてもしょうがない」
2022年2月18日 Release
https://maharajan.lnk.to/KurabetemoSyouganai
「持たざる者」
2022年3月24日 Release
https://maharajan.lnk.to/MotazaruMono
■関連リンク
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