『からかい上手の高木さん』を彩るJ-POPカバー 高橋李依の歌声、物語に沿った選曲の魅力を紐解く
そして第3期では、ラッツ&スターとしてリリースし、鈴木雅之名義で歌い続けていることでも有名な大瀧詠一「夢で逢えたら」を始め、JUDY AND MARY「Over Drive」や秦 基博「ひまわりの約束」、いきものがかり「じょいふる」などがカバーされた。
思えば、第1期の第1話からすでにフラグが立っており、第1話を締めくくった「気まぐれロマンティック」が、第3期第6話で挿入歌として再登場したことは印象深い。文化祭の劇で、西片がアドリブで「僕たちの愛の奇跡なのです」と言うと「きっとこうなる運命だったのでしょう。二人が出逢ったあの春の日から。あなたは私の王子様です」と、高木さんが返して入学当時の出会いが示唆された他、文化祭の打ち上げのカラオケでミナ(CV:小原好美)、ユカリ(CV:M・A・O)、サナエ(CV:小倉唯)が「気まぐれロマンティック」を歌うという、期を越えた伏線回収に感動が広がった。同放送回のエンディングで歌われたフィンガー5「学園天国」のカバーでは、高木さんのアイドル姿が登場したのも話題を呼んだ。
また、クリスマスをテーマにした第9話では、高木さんのサンタ姿が披露され、未映像化のため幻とされていた前述のライブイベントの一部が、昨年末にYouTubeでプレミア配信されたこととも繋がった。西片の高木さんへの気持ちが確信に変わり始めた、お正月やバレンタインをテーマにした終盤のエピソードでは、雪の情景と共にSEKAI NO OWARIの「スノーマジックファンタジー」のカバーが物語を彩った。〈僕は君に恋した〉など西片の心情が溢れたような同曲。西片にとって高木さんは、まさしく雪の妖精のように見えたことだろう。
高木さんを演じる髙橋は、ソロやユニットで活動する他、キャラクターソングも数多く担当するなど、その歌声には定評がある。しかし高木さんとして歌う楽曲は、それらのどの歌声とも異なり、実に高木さん然としており、役への思い入れの深さが感じられる。とてもリラックスした雰囲気でやさしく語りかけるような歌声なのも印象的で、カラオケで隣に座っている西片に向かって歌っているような姿を想像させる。そして世代を超えた選曲も、多くの人が作品に感情を寄せられるポイントとなっているのだろう。
7月13日には、第3期と劇場版のカバーソングを収録した『「からかい上手の高木さん3&劇場版」Cover Song Collection』がリリースされるとのこと。劇場版ではどんな曲がカバーされるのか、非常に楽しみだ。
※1:https://takagi3.me/news/20210901_02.html