THE☆FUNKSに初取材 安岡 優&ダンス☆マンに聞く、13年越しに結実した“一大ファンク絵巻”『愛の12星座』のすべて

THE☆FUNKSの一大ファンク絵巻

 2009年のデビューライブから実に13年、THE☆FUNKSの地球デビューアルバム『愛の12星座』がついにリリースされる。THE☆FUNKSとは、ゴスペラーズの安岡 優に似ている気がするドリー・D(ダイヤ☆モンド)・ファンク・Jrと、ダンス☆マンことテリー・D(ダンス☆マン)・ファンクによる、「ミラーボール星」から地球に来た兄弟アイドルユニット。プロデューサーを務めるのは、ゴスペラーズの安岡 優だ。『愛の12星座』では、ファンクはもちろん、ソウル、ラテン、歌謡曲、Pファンク、シティポップ、スウィートソウルなどの要素、そしてユーモアが詰め込まれている。まさに10年以上待たせただけのことはある一大ファンク絵巻なのだ。

 今回のインタビューは、THE☆FUNKSの初取材。ところが、現場に現れたのは安岡 優とダンス☆マンのみで、ドリーの姿がない。どういうことなのか、確認するところから初インタビューは始まった。(宗像明将)

安岡 優がTHE☆FUNKSをプロデュースするきっかけとは?

ーーついに地球デビューアルバム『愛の12星座』がリリースされるということで取材に来たのですが、あの、ドリー・D・ファンク・Jrさんはどちらに……?

安岡 優(以下、安岡):今日は来てないみたいです。自由気ままな人で、来たい時だけ地球にやってくる人なので、今日もどこで何をしているのかわからないんです。

ダンス☆マン:結成当時、一緒にラジオに出たことあったんですけど、まったくダメで(笑)。

安岡:プロデューサーとして、僕が取材を受けたほうが皆さんにお伝えできることが多いんじゃないかということで、同席させていただいているという感じです。

ーーお気遣いありがとうございます。そもそも、ミラーボール星から来たTHE☆FUNKSと安岡さんはいつ、どこで出会ったのですか?

安岡:ゴスペラーズと鈴木雅之さん、Skoop On Somebodyが中心となるソウルミュージックのイベント『SOUL POWER』を2006年に立ち上げて、第1回目から参加してくれたダンス☆マンさんのステージに僕が感激してしまって。有名なディスコソングを空耳カバーにして、さらに面白さを広げていくステージを見た時に、「天才だな」って思って。それから『SOUL POWER』で毎年ご一緒するようになって、3年目ぐらいのときに、僕にプロデュースさせてくれないかという話をしたら、「実は故郷のミラーボール星に兄がいて、兄弟でアイドルデュオをやってます」という話だったので、じゃあ兄弟デュオを僕にプロデュースさせてくれないかとオファーしたのがきっかけでしたね。その後、THE☆FUNKSは、『SOUL POWER TOKYO SUMMIT 2009』のオープニングアクトを務めて、ついに地球人に目撃されました。

ーー地球でのライブ開始が2009年、シングル「月刊☆星ガール.net」のリリースが2010年なので、シングルから12年も経ってるんですね。

安岡: 2009年の時は空耳カバーを2曲披露する形だったけれど、THE☆FUNKSもオリジナルソングを地球でリリースしようという話になり、そこから1年かけて「月刊☆星ガール.net」をリリースしました。大体年に1回ぐらいはダンス☆マンさん主催のファンクイベントか『SOUL POWER』のステージのため地球にやってくる感じだったんですけど、まあ不定期でしたからね。特にお兄さん(ドリー)の方が。

ーーそこからデビューアルバム『愛の12星座』がリリースされたのはどういう経緯でしょうか?

安岡:(ダンス☆マンに)あの、ちょっとごめんね、僕ばっかり話して大丈夫? 初めての取材だから、プロデューサーとして時系列を並べながら確認してるんだよね。

ーーまるで設定を確認しているかのようですね……。

安岡:地球の時間感覚と違うので、何月何日という感覚があまりないんですよね。2010年の「月刊☆星ガール.net」を作った時から、アルバムを出したいなという気持ちはあったんですが、やはり2011年の東日本大震災がすごく大きくて、予定を変更せざるをえなくなってしまって。ライブで二人が揃っている時に、年に1曲ずつぐらい新曲は増やしていたので、書き溜めていたものを初めてレコーディングすることができました。そこから、「アルバムを絶対出すぞ」と決めたのは2018年のソロライブのあとでした。2015年に僕がソロアルバムを出した後に、次にソロの制作をする時間的な余裕があるとすれば、ゴスペラーズの25周年ツアーが終わる2020年なので、2021年のリリースを目指すことにして。ダンス☆マンさんに「3年後の話なんだけど、今から準備しないと多分作れないから」と伝えて。

ダンス☆マン:驚きました、「本気なんだな」って。お忙しいのに。それまで息抜きみたいな感じでやってたんですけど、いよいよかと。

安岡:そうしたら2020年にコロナ禍が始まって、2020年2月にゴスペラーズのライブが全て中止になってしまい。音楽業界全体がライブも制作も止まってしまったなかで、思い浮かんだものをどう現実的に完成に向かわせるかという冒険が始まった感じですね。そして2020年春にダンス☆マンさんにメールして、「今ミュージシャンは外に出られないけど、アルバムを作るための作業は家でできるはずなので、そういう心持ちで動いておいてください」というメールをして、ダンス☆マンさんに全曲のデータをもう一回洗ってもらって。どの曲を完成まで録っていて、どの曲は録っていないとか、そういうのをやり始めたのが2020年の春ですね。

ダンス☆マン:2018年の時点で、安岡プロデューサー、安Pは本気なんだなと思ったし、2020年にコロナ禍になってからメールをいただいた時には、私の方もライブもイベントも全部なくなってしまったんで、もしかしたら神様からチャンスをいただいたのかなというような感じで、もう一回全部洗い直しました。

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