STAYC、Rocket Punch、Billlie、NMIXX……新世代グループに見るガールクラッシュの多様化
TWICE、BLACKPINKに続いて様々なガールズグループがデビューしている中、STAYCやRocket Punch、Billlie、NMIXXといった新世代グループも日本での人気を着実に固めている。これらのグループはいずれもガールクラッシュ路線とされることが多いため、日本のファンが増えているというのは一見意外に感じるだろう。ガールクラッシュは、K-POP第2世代あたりまではインパクトのあるコンセプトとして存在感を放っていたが、今では大まかに“K-POPっぽさ”の1つと捉えられるようにもなった。その上、ガールクラッシュの中でもさらにジャンルが細分化されるようになり、様々なグループが国内外のK-POPファンを魅了している。その流れから、ガールクラッシュは最早、本来の“同性が憧れる女性”という意味を超えた自立や自己表現に近い意味合いになりつつあるように感じる。
6人組ガールズグループ STAYCは新曲「RUN2U」で、恋愛に臆しない一面を表現した。STAYCは、所属事務所が大手ではないながらも、昨年のデビュー当初からヒット曲を連発していることで知られているグループだ。2022年も注目度の高いSTAYCだが、今回の新曲はこれまでで最も重厚感のあるリズミカルな1曲となった。元気なイメージが先行していたこれまでとは異なり、STAYCが少し大人に成長したイメージも与える同楽曲。イントロから勢いのあるサウンドで圧倒すると、サビで流れるメロディの中毒性で、楽曲の高い評価に繋げた。また、「RUN2U」のような強気な恋愛ソングは、知名度があってこそ活きるコンセプトだろう。その点で、STAYCにとって今回のカムバックは、新たにグループのカリスマ性をアピールするきっかけにもなった。ちなみに同楽曲は、メンバーのユンが着用していた衣装の一部が、スニーカーをリメイクしたものだという奇抜さでも話題を集めた。「RUN2U」を通じて発信されたSTAYCのガールクラッシュは、これまでの個性と並行した新たな一面として確立された。
Rocket Punchも、新曲「CHIQUITA」で自立した恋愛観を持つ女子を表現した。元AKB48のジュリ(高橋朱里)を擁するRocket Punchは、昨年8月には日本デビューを果たすなど、今後の日本活動に期待がかかるグループだ。「CHIQUITA」は、グループ名のイメージの強さに負けないくらい強気な内容だが、サビでの〈CHIQUITA〉というフレーズやJ-POPにも似た曲調でキャッチーに仕上がっている。また、大人っぽいビジュアルとは反対に、運動量の多いダンスで熱量を伝えるパフォーマンスは、Rocket Punchのデビュー当初からの持ち味の1つだ。アップテンポで難易度の高い同楽曲の振付をそつなくこなす魅せ方に、王道のアイドルっぽさも感じられた。昨年リリースした楽曲「Ring Ring」に続き、レトロテイストな楽曲で魅力をアピールしたRocket Punch。同楽曲のMVでも、ネオンや彩度のニュアンスでその個性を一段と印象づけている。ガールクラッシュらしい攻撃力の高さと可愛らしさを兼ねたRocket Punchのポテンシャルだが、この系統を深めていくことで日本でもさらに人気を集めることとなりそうだ。