スピラ・スピカ、結成時から変わらないポジティブなスタンス 『ナガレボシトレイン』にも通じる信念を語る

 幹葉(Vo)、 寺西裕二(Gt)、ますだ(Ba)によるスリーピースバンド スピラ・スピカ。2月にリリースしたTVアニメ『その着せ替え人形は恋をする』OPテーマを標題に据えたシングル『燦々デイズ』も好調な中、3月16日には2ndアルバム『ナガレボシトレイン』をリリースする。ジャニーズWESTの「証拠」をきっかけにJazzin'parkに楽曲を依頼したことなど、アルバムの制作経緯の話題から、“ポップ・ロックフィールドとアニソンフィールドの架け橋”というバンドのスタンスや3人が目標としている先まで、和気藹々と話してもらった。(編集部)【記事最後にプレゼント情報あり】

歌う上で大事にしているのは自分のやりたいことをやり通すこと

――『ナガレボシトレイン』とは、なかなかインパクトのあるアルバムタイトルですね。

寺西裕二(以下、寺西):難しい言葉じゃなくて、わかりやすいワードを持ってきたかったんです。今回のアルバムは“僕らの曲を聴いてくれるみんなと一緒に夢に向かって進んでいこう!”というイメージだったので、“一緒に”という想いを表すために乗り物の“トレイン”を。あとはバンド名自体が星にちなんでいるので、“希望”の意味を込めて“ナガレボシ”を引っ張ってきました。両方ともよく聞くワードではあるけれど、合わせて使っているのは聞かないし。

幹葉:メンバーそれぞれ5個くらいずつタイトル案を持ってきて、プレゼン対決したんですけど、『ナガレボシトレイン』って聞いたときに“めっちゃいいタイトルやな!”って。この字面を見ただけで、楽しくてワクワクするところに連れていってくれそうじゃないですか。このタイトルを踏まえて新曲たちを作っていきました。

――そのポジティブ感って今作に限らず、スピラ・スピカというバンド自体のテーマでもありますよね。最新シングルでありアルバムの幕開けを飾る「燦々デイズ」で描いている“「好き」の気持ちに正直になる”ということは、デビュー当初から歌い続けてきたテーマの一つだそうですし、そういった前向きなスタンスは結成時から変わらないのかなと。

幹葉:そうですね。たとえ一見バカにされるようなことであっても、自分が信念を持って貫いていればカッコいいと思っているので、人の目なんて気にせずに、自分のやりたいことをやり通すというのは、歌う上で大事にしていることかもしれないです。例えば新曲の「サークルフィッシュ」とか、パッと聴き“ふざけてるのか?”と感じると思うんですけど、実は超真面目なテーマを入れ込んでいたりするんですよ。

――「サークルフィッシュ」は幹葉さんが“サークルモッシュができる曲が欲しい”ということで出来上がった曲だそうですが、サークルモッシュを起点にして、何故こんなに和風でコミカルな楽曲が? と大変驚きました。

寺西:幹葉は、ちょっと着眼点が変わってるんです……(笑)。

幹葉:私たちのライブ的に、激しいというよりは安全にゆっくり回るものがいいなと考えたときに浮かんだのが、回転寿司だったんです。回転寿司って決められたレーンで回るじゃないですか。だけど時間が経つと自動的に廃棄されちゃうその限られた時間の中で、自分が一番美味しいときに理想の相手に見つけてもらうのはすごく難しいことで、だからこそ瞬間を必死に生きている魚の歌なんです。

――なるほど。正直“ネタ曲だな”と思ったんですが、もしや、それも寿司だけに……?

幹葉:そういうネタが、この曲にはたくさん仕込まれているんですよ。歌詞には載っていない早口の部分でも、レーンの上でタイムリミットを前に焦ってる魚の気持ちを歌ってたりするので、ぜひ聴き込んでほしいですね。ライブになったら、各地のお魚について語るもよし、クラップのパートではみんなにも、鮨を握る動きで手を叩いてもらえたらなと(笑)。もしかしたら笑われるかもしれないですけど、それをやりきることがカッコいいし、それでみんなが楽しんでもらえたらいいかなって。

ますだ:ライブはスピラ・スピカが特に大切にしているものの一つなんです。自分たちの気持ちをライブで届けたいという想いが強いので、1本1本のライブを大事にするということは、すごく心がけています。『爽快系目薬 ロートZ!』のCMソングにもなっている「夏のキセキ」もクラップのレコーディングがめちゃめちゃ楽しかったんですけど、こういったところでお客さんとの一体感が生まれたり、最後のコーラスも今は声を出して歌えないけれど、ライブが盛り上がる1曲になると思います。

――「サークルフィッシュ」にしろ、コロナ禍を考えて声を出したり暴れる曲を控えようという意図は特になかったんですね。

ますだ:スピラ・スピカにはダンス曲や例えば「じゃんけんキング」みたいにじゃんけんができる曲があったり、声が出せない環境でも楽しめる曲がいろいろあるんですよね。なので、いろんな楽しみ方ができるように、バリエーションの幅は変わらず出していきたかったんです。

寺西:あと、普段だったら声を出すような曲をやっても、まるで大声を出しているように観てくれているので、僕らも全力でできるんですよね。

幹葉:コール&レスポンスがある曲も、全部私たちの自己完結型のコール&レスポンスでやったりしてます。また普段通りにライブができることを願って、変わらずにライブを重視した曲を作りました。

ますだ:うん。そういう意味では「ゲットゴーイング」もライブ映えのする曲だし。

――こちらは幹葉さんの希望で、Jazzin'parkさんに楽曲制作を依頼されたとか。

幹葉:各地でレギュラーラジオをやらせてもらっているんですが、ラジオを聞いていると様々な曲に出会えるじゃないですか。その中で“この曲いいな”と思う曲を調べたら、立て続けにJazzin'parkさんの曲だったことがあったんです。特に印象に残っていたのが、ジャニーズWESTさんの「証拠」で、すごく熱い曲なんですけど聴いた瞬間にビビッ! ときたんだよね……ってメンバーに話をしたら、寺くんも好きな曲がある!って話になって。

寺西:僕、実は嵐が大好きなんですよ! Jazzin'parkさんは嵐の「光」っていうアルバム曲も作っていらっしゃって、アレンジも神々しさだったり、自分にはないサウンド感があるんですよね。なので、Jazzin'park×スピラ・スピカをやってみたら、どんな化学反応が起きるんだろう?と、お願いさせていただきました。

――結果、どんな新境地が開けました?

幹葉:スピラ・スピカって溢れ出るエネルギーを届ける、前のめりな楽曲が多いんですよ。それに対して、抜くところは抜いているというか。歌う側の私も少しリラックスして歌える楽曲になったので新鮮でした。普段は、どうしても足し算しちゃうことが多いので。

ますだ:今まで、こういう渋みがある曲ってなかったんですよね。そのぶんベースも一音一音のノリが大切になってくるし、ドラムとの掛け合いというところも意識して、ライブではやっていきたいなって思ってます。

――隙間を感じさせるってことですよね。自分を貫く、ライブ重視ときて、他にスピラ・スピカがテーマにしていることって何でしょう?

寺西:曲を作る身としては、やっぱり聴いてくれる人ありきだなというのは強く感じているんですよ。なので、曲を最初に作り出したのは僕であっても、それを聴いてもらえることで初めて曲として成り立つものなんだという意識は強いです。

――では、例えば今回のアルバムで一番共感を得られそうな曲を挙げるなら?

寺西:意外と「にゃらんごろん」とか……。

幹葉:そこなんや!(笑)

寺西:ちょっとだらしない部分を描いてる曲なんですけど、それって誰しもが持っているものだったりするじゃないですか。だから、ガス抜きの方法を知らない人とかにも刺さるだろうし、いろんな共感の仕方がある曲じゃないかなって。

――「にゃらんごろん」はインディーズ時代の楽曲「だらんごろん」のリメイクなんですよね。

寺西:そうです。どうしてもインディーズ時代の曲ってライブで披露する機会が減ってしまうなか、“「だらんごらん」聴きたい!”っていうお客さんの声が多くて、僕らにとっても思い入れの大きい曲だったんですね。なので、今回タイトルを変えてリメイクしました。

幹葉:ファンクラブ内のラジオでも、その曲の音を使ったりしたよね。意外と好きな方は多いんじゃないかな。

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