桜田通、1年ぶりとなる有観客ライブで感じた“音楽でつながる幸せ” 初のZeppツアー初日公演を振り返って

桜田通、初のZeppツアー初日公演レポ

 桜田通にとって初のZeppツアー『Dori Sakurada ZEPP TOUR 2022 Anniversary to the next level』が、2月11日に開幕した。2021年2月にZepp Tokyoで開催された『Sakura da Festa 2021~the next phase~』以来、1年ぶりとなる有観客ライブ。ツアーに先駆け、2月10日には新曲「Brand New World」がYouTubeで公開された。横浜・名古屋・大阪・東京の4都市をまわった本ツアー、初日公演のレポートをお届けしたい。

 桜田のライブは“黒”の占有率が高い。黒い海の中で、ツアーTシャツに描かれた真っ赤なりんごが揺れている。ふいにBGMがふつりと途切れ、暗転。不穏な電子音が響き渡り、パープルのライトが明滅する。「Zeppツアー始める準備できてんのか!」という桜田の叫びがとどろき、ライブがスタートした。ゾクゾクするような重低音に軽快なコーラスが重なるオープニング、パワフルなギターサウンドの「NOISE」と続き、そのまま桜田が出演したドラマ『コーヒー&バニラ』のエンディング主題歌のカバーへ。激しいロックサウンドから甘く感傷的なバラードへとシームレスに流れこみ、観客を一気に引き込んだ。

 「久しぶりの有観客ライブなので、いいものをお見せできるようメンバー皆で切瑳琢磨してきました。最後まで安全で楽しい時間をつくっていきましょう」と挨拶し、チーム・ハンサム!のナンバー「White Serenade」へ。前日に大雪警報が発令されたこの日、会場まで無事にたどり着けるか心配していたファンも多かっただろう。雪景色のなか恋の終わりに思いを馳せるこの曲は、まさにタイムリーな1曲だった。「Don't step on Me」「限りある日々」といった恒例のナンバーが続けざまに披露され、客席のボルテージが上がり始める。声は出せないものの、クラップを打ったり手を掲げたりして、会場の熱を高めていく。

 「今回のセットリスト、すごく好きなんです。激しいライブが好きだったけど、音楽っていうものをもっと深く楽しめたらと思って」というMCをきっかけに、ライブは次のステージへ。今回、渡辺裕太(Gt)の参加によって可能になったアコースティックパート。歌い始めようとした桜田が「なんか、笑いが止まらないんですよね。幸せなのかな?」と、一旦マイクから離れる。

 「僕は、20代で参加した映画ですごく大事な仲間ができて。もちろん悔しいこともあったけど、自分の道が開けたし、あそこがスタートラインだったなと思えるんです」。出演作の主題歌2曲をしっとりと歌い上げ、そう振り返る表情は穏やかだ。2019年に公開された映画『ラ』ではバンドのボーカリスト・慎平を演じたが、彼がもし30歳を過ぎてまたバンドを始めたら、こんなふうに歌うのではないだろうか? ステージに立つ桜田の姿を通して、映画の“その先”を見せてもらった気がした。

 コロナ禍以降の配信ライブでは実現が難しかったものの、桜田のライブは、独自のセレクトによるさまざまな楽曲のカバーも見どころのひとつだ。「今回はいままでやっていたライブの良さも取り戻したくて。自分勝手に好きな曲もやりたいと思っています」というMCに続いて披露されたのは、ある意味、“桜田らしい”ナンバー。ムードをポップに塗り替え、バンドの見せ場「born again」へ。ロックナンバー「FICTION」「Seize the Day」とオリジナル曲をたたみかける展開に、客席も大きなクラップで応える。

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