桜田通、1年ぶりとなる有観客ライブで感じた“音楽でつながる幸せ” 初のZeppツアー初日公演を振り返って
桜田は、2020年秋に行ったインタビューで「2、3年前に作った曲を、なんで今日も心を込めて歌えるんだろう」と話していた(※1)。世の中がどれほど混沌としても、楽曲の力強さは衰えない。〈限りない自由 可能性が/待っていることはわかってる/でも世界相手に/何かを変えられるなんて信じていいのか?〉。そんな歌詞が織り込まれた「あの空へ」は、いまこの時代に、より強く背中を押してくれるアンセムだ。この日のラストナンバーは、SNS上の「#うたつなぎ」企画から生まれた楽曲「Hero」。〈離れていても/心はずっとそばにいるよ〉と、伸びやかな歌声が会場を包みこむ。
緩急差で魅せる序盤から、アコースティックパート、後半のたたみかける展開……これまでに比べて、ストーリー性がグッと増した今回のライブ。最後のMCで、桜田は全16曲からなるセットリストについてこう語った。「Zeppツアーができるようになったけど、会場だけ大きくなっても仕方がない。何をやっても喜んでもらえる関係じゃなくて『これこれ、これが見たかったんだよ』っていう予想通りの世界と、皆が想像つかない世界をどちらも見せていきたいんです。それは音楽だけじゃなく、芝居も、トークショーなどのイベントも、ステップアップに見合った表現を届けていきたいと思っています」
ライブ序盤、桜田は「声が出せないこんな状況だけど、心だったり身振りだったり目だったり、伝えられるものって色々あると思っています」と客席に語りかけた。歓声をあげられなくとも、私たちは音楽を共有し、音楽で一体になれる。音楽でつながることは幸せだ。そんなシンプルな感情を、この日、桜田通が思い出させてくれた。
※1:https://realsound.jp/2020/10/post-632017.html
桜田通 オフィシャルサイト
https://www.sakuradadori.com/