King & Prince、シングル表題曲で見せる王子様像とは対照的なクールな一面 全編英語詞の楽曲に注目
一方、3rdアルバム『Re:Sense』収録の「Namae Oshiete」は、グラミー賞を12度受賞したBabyfaceによるプロデュース作品で、2019年にアメリカ・LAでレコーディングされた。メンバーが発音に苦戦するレコーディング風景が公開されたのも印象深い。
本楽曲は名も知らぬ相手に心を奪われてしまった恋焦がれる心情を、スローなテンポで歌い上げるラブソング。MVでは、パーティー会場で意中の人を探し回るメンバーの姿が。蝶ネクタイをしたドレッシーなスーツスタイルとは対照的に、スマートにはいかない状況。心はすっかり掻き乱されている。誰かを想い、恋焦がれる表情は、20代半ばの彼らだからこそ出せたのではないだろうか。デビュー曲「シンデレラガール」の系譜を感じつつ、大人へと成長したKing & Princeらしいストーリーだ。
ちなみに本楽曲が収録されているアルバムタイトル『Re:Sense』は、「Real」と「Sense」を掛け合わせた造語。等身大や王子様キャラなどのパブリックイメージをそのままに、King & Princeが持つそれぞれの才能を感じてもらいたいという意味を込めたそう。積み上げてきたからこそ花開いた才能や、紆余曲折を経ながら継続があっての現在だからこそ、“Reborn”や“Renewal”ではなく“Re:Sense”。当てはまる言葉がなければ作ってしまおうという細部へのこだわりや若手グループらしいパイオニア精神、そしてセンスをネーミングから感じた。
そして、2021年10月6日リリース8thシングル『恋降る月夜に君想ふ』通常盤収録の「Easy Go」は、仕事や勉強など、目の前のことに打ち込む人にそっと寄り添うような楽曲。ふらっとやってきては隣に座り、さりげなく肩の力が抜けるような言葉をかけてくれるーー。これが日本語の歌詞だったらストレートに響いてしまうが、ややスロー気味なR&Bテイストの楽曲と英語詞を合わせたことで、焦る気持ちを整えてくれるリラクシングな雰囲気。表題曲を王道のJ-POPで攻めた分、カップリング曲とのコントラストも楽しい。
2ndアルバム『L&』通常盤のみ収録の「Bounce」も含め、全編英語詞の楽曲で見せるのはどれもぐんと大人な世界観。「シンデレラガール」のようなキラキラとした衣装をまとい思いっきりアイドルをしている姿ではなく、照明を落としハットを深くかぶったり、シャツの胸元を大胆に開けたり、ジャケットを揺らしながらダンスに熱を注ぐギャップ。それは王子たちの知られざる秘密を知ってしまったような気分にさせられる。
『Lovin’ you / 踊るように人生を。』はそれぞれCMやドラマの世界観にどう溶け込んでいくのか、そして全編英語詞の「54321」はどんな形でお披露目されるのか、期待が高まる。本シングルでも、表題曲で見せる姿とは異なる、パワーアップしたKing & Princeに出会えそうだ。