Nissy(西島隆弘)、ラブソングで紡ぐ“優れた物語” 観る者・聴く者の想像力を掻き立てる独自のエンタメ性
AAA 西島隆弘によるソロプロジェクトNissyの新曲「君に触れた時から」が話題だ。1月24日に公開されたMVは、“#2月4日までにMV2400万回再生”というTwitterのハッシュタグのもと、2月4日=“Nissyの日”に向けて2400万回再生を目指していた。同日までに目標数には届かなかったものの、公開から2週間の時点で1800万回再生という脅威の数字を叩き出している。コメント欄には熱心なファンのみならず、世界中からあらゆる言語でコメントが寄せられ、その勢いは増すばかりだ。
ハイレベルな歌唱力やダンスパフォーマンスは言うまでもない。もちろん甘いマスクや、パフォーマンス中に見せるキュートな表情も魅力的。何より、一番の武器はその歌声だ。美しく透明度の高いハイトーン、煌めきと力強さが共存するボーカルは唯一無二のもの。飽きることなく聴き続けられる声質であることも、MVの再生回数を伸ばす理由のひとつだろう。
なぜ彼の歌うラブソングは、ここまで胸を打つのだろうか。
これまでも多くのラブソングをリリースし、ファンの心を惹きつけてきたが、その作風は一貫して“優れた物語”である。彼の作り出すものは、感情を吐露したりパーソナリティを反映させるというよりは、ファンの求めるものを表現しリスナーを楽しませるという一点に徹しており、ラブソングに関してはそのフィクション性がより濃く打ち出されているのが特徴だと言えるだろう。
今回の「君に触れた時から」でも顕著に表れているが、Nissyの紡ぐラブソングには“ひたむきさ”が散りばめられている。相手に身を捧げるような一途さや、献身的な愛、一片の曇りもないような純粋さなど、聴く者をうっとりさせ恋愛映画の主人公になったような気持ちにさせる力がある。相手を全肯定し、そこに付随する切なさや愛おしさを惜しみなく歌い上げる。現実を忘れさせ夢の世界へ連れていく、究極のエンターテインメントだ。
その“ひたむきさ”や“一途さ”、“愛情の大きさ”といった感情表現が100%の虚構であれば、リスナーの心をこんなにも打ち震わせることはないだろう。Nissyの妥協のないモノづくりへの姿勢や、ファンや周囲への深い愛情、彼自身が発信してきたエンタメに対する熱く静かな情熱が、ラブソングに説得力を持たせているのではないだろうか。