Nissy(西島隆弘)を“ポップスター”たらしめる6つの理由 5周年記念ドーム公演から考える

Nissyを“ポップスター”たらしめる理由

 2019年4月30日、平成が終わった。国民的アイドルSMAPの解散やストリーミングサービスの定着など、この30年でアーティストや音楽産業のありかたもガラッと変わった。以前は男性のポップスターといえばジャニーズ一強のようなイメージもあったが、それすら変化しつつあるように感じる。時代は新たな担い手を求めているのではないだろうか。

Nissy

 各々思い当たる人物がいると思うが、もし候補に入っていないのであれば早急に加えてほしいエンターテイナーがひとりいる。それは、Nissyこと西島隆弘だ。彼は『Nissy Entertainment ”5th Anniversary” BEST DOME TOUR』において、男性ソロ歌手史上最年少ドームツアーという偉業を成し遂げた。「Nissyで最年少なの?」という声も聞こえてきそうだが、他に男性歌手で単独ドームツアーを経験したアーティストは6人しかいない。しかも、桑田佳祐や小田和正、星野源といったそうそうたる面々なのだ。

 “なぜNissyが次世代を担うポップスターになりえるのか”ということを、4月25日に開催されたコンサートより紐解きたいと思う。本当はNissyになぞらえて24の魅力を唱えたいところなのだが、文字数の関係もあるので2+4の6トピックで勘弁してほしい。

 まず、アーティストとしての確固たる実力である。今回のセットリストは5周年記念ということもあり、とても攻めのセットリストで組まれていた。MVになっている曲、要はシングルカットされている曲やアルバムでのリードトラックで構成された内容だ。

 オープニングの「Affinity」のハイトーンに始まり、「LOVE GUN」でハードなダンスと共に高音のメロディーライン。続く「まだ君は知らない MY PRETTIEST GIRL」では、イントロをアカペラで披露し抜群の歌唱力を発揮した。ライブアレンジの効いたボーカルは、出だし3曲だけで彼が”ミュージシャンNissy”としていかに勝負しているかがわかる。また、ダンスにおいても限界無視のセットリストだったといっていいだろう。休みなくステップの続く「DANCE DANCE DANCE」、ソロダンスパートのある「Playing With Fire」を続けざまに組むなんて腹をくくって臨まないとできない。

 第二にコンサートにおけるストーリー性が極めて高い。彼のステージはオープニング、エンディングから非日常へ引き込む工夫があることはもちろん、伏線の引き方が緻密なのだ。

 例としてひとつあげるのであれば、4曲目のあとに挟まれた“バスで隣に乗ってきたNissyとどこかへ向かう”VTR。何気ないファンサービスの映像にも見えるのだが、実は次の曲への伏線となっている。Nissyの「このシチュエーション、懐かしいっすね。覚えてます? 俺は覚えてますよ」という言葉が指すのは、「ワガママ」のMVでのワンシーン。恋人役の女の子にスイーツを「あーん」してあげるところが、Nissyがご当地の食べ物を「あーん」してくれる映像とリンクするようにできているのだ。そして、バスが向かった先も横浜みなとみらい、「ワガママ」の舞台になっている思い出の地なのである。このようにNissy Entertainmentには、ライブだけで完結しない物語が仕込まれている。

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