えなこ、Liyuu、あかせあかり……増加するコスプレイヤーのCDデビュー アニソン歌手の新勢力となるか?

 えなこ、Liyuu、つんこ、倉坂くるるなど、コスプレイヤーのCDデビューが目立つ。数十〜百万単位でフォロワーを持つカリスマコスプレイヤーたちがデビューするのは必然とも言えるが、その前提として、“コスプレイヤー”という職業の躍進がある。青年誌や週刊誌において、アイドルやグラドルと並んでコスプレイヤーが表紙を飾る機会も増えている昨今。もともとはオタクカルチャーとして根付いたものが、ここ数年の間に市民権を獲得したこともアーティストデビュー増加とも関係しているように思う。

 まずは、日本一のコスプレイヤーと称される、えなこ。コスプレイヤー以外にも、タレント、歌手、声優、俳優に挑戦し、2020年には内閣府の「クールジャパン・アンバサダー」に就任するなどコスプレカルチャーをより多くの人に認知させ、一般的なものに押し上げた立役者だ。2021年に担当した雑誌表紙が70冊を超えるなど、コスプレイヤーの枠を超えた活躍ぶり。元々アニメやアニソン好きで、自らも歌手に挑戦してみたいという思いや、ファンの間からも歌手活動を望む声が多かったという。

えなこ「SP-LuSH ROAD」 Official Video

 そんな彼女は、TVアニメ『けいおん!』の音楽などを手掛ける音楽プロデューサー・Tom-H@ckを迎え、2020年12月に初のミニアルバム『ドレス・レ・コード』をリリース。2021年7月にリリースした初シングル『SP-LuSH ROAD』表題曲は、前作から引き続きTom-H@ckをプロデューサーに迎え、夏をテーマにしたデジタルロックサウンドを展開。えなこ自身のイメージと重なるポップで可愛らしいアイドルソングとなった。同曲MVでは、えなこが水着姿で登場し、彼女の魅力が溢れる映像に。日本のポップカルチャーのアイコンとして、今後はアーティストとしても世界へ向けての活動が期待される。

Liyuu - Reply (1st ALBUM「Fo(u)r YuU」収録)

 世界中のコスプレファンから圧倒的な人気を誇る、中国上海市出身のコスプレイヤー Liyuuは、2020年1月にTVアニメ『はてな☆イリュージョン』オープニング主題歌「Magic Words」でLantis(ランティス)より歌手デビュー。同年12月に『ラブライブ!スーパースター!!』の唐可可役に抜擢され、ユニット「Liella!」の1人として2021年4月に『始まりは君の空』をリリース。その確かな歌唱力を聴かせている。中国から来日し、アニソン歌手になる夢を実現したLiyuu。声優や歌手としての道を切り開いた、中国人コスプレイヤーのパイオニアとも言えるだろう。

【MV】BLACK LOTUS / 燐舞曲 (D4DJ)・TVアニメ「D_CIDE TRAUMEREI THE ANIMATION」エンディングテーマ

 コスプレイヤー兼DJ、そして声優としても活躍をしているつんこは、大学卒業後にフリーでコスプレイヤー/DJとして活動をスタート。2018年に同じレイヤー仲間の宮本彩希とコスプレイヤーによるプロジェクト「L’érable」(レラブル)の参加を経て、えなこも籍を置くPPエンタープライズに所属。現在は、DJをテーマにしたメディアミックスプロジェクト「D4DJ」に参加し、ロック系4人組ユニット「燐舞曲」の男装キャラクター・三宅葵依役を担当。同ユニットでは、TVアニメ『D_CIDE TRAUMEREI THE ANIMATION』のエンディングテーマ「BLACK LOTUS」をはじめ、3rdシングル曲「[Re] termination」など、本格的なロックサウンドと美しいハーモニーで、壮大で美しい世界観を作り出している。昨年行われた燐舞曲の単独公演では、つんこのDJプレイと、ユニットによるオリジナル曲のパフォーマンスを交互に行うライブを成功させた。普段のコスプレでは刺激的な衣装を着用しているが、燐舞曲ではボーイッシュでクールなDJプレイを見せる、そのギャップの格好良さは唯一無二だ。

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