和楽器バンド、新年恒例ライブ『大新年会』で告げた8周年の幕開け　苦難の時代に宣言した希望の誓い

　ここで恒例の「ドラム和太鼓バトル 月打～GACHIUCHI～」に突入。山葵のドラムと黒流の和太鼓の掛合いでひとしきり盛り上がった後は、二人が繰り出すリズムに呼応するように、観客が手元に配布されたハリセンで音を鳴らす、という“コール＆レスポンス”も。さらに、山葵が特大の大太鼓を叩くパフォーマンスを初めて披露。二人が太鼓越しに向き合い、共にバチを振るその姿に、客席からはひと際大きな拍手が湧き起こった。

　こうして迎えたクライマックスは、オーディエンスを巻き込んでの久々の“タオル回し”でお祭り感を味わった「セツナトリップ」から、最後は「一面、紫に染めて1つになれますか？」という鈴華の言葉で代表曲「千本桜」へ。冒頭で銀テープが宙に放たれ、場内のボルテージもMAXに。紫や青のレーザーが飛び交うと、客席も紫のペンライトを振って応酬し、最高潮の熱気の中で本編が終了した。

　アンコールに応えて、再びステージに登場したメンバーは、「この8人が集まって一番最初に音にした」という記念すべき曲「六兆年と一夜物語」を演奏。軽やかなリズムに乗せて、亜沙はヘッドバンギングをしながらベースを爪弾き、町屋も激しいギターソロを聴かせる。メンバーそれぞれが楽しそうに音を奏でている姿が印象的だ。そして、いぶくろの箏と神永の尺八、さらに山葵が鳴らす銅鑼（ドラ）に始まるラストの「暁ノ糸」は、火柱が上がる中、スケール感のあるパフォーマンスで観客を魅了した。

　2022年にデビュー満8年を迎える和楽器バンド。“8（八）”はメンバーが8名の和楽器バンドにとって縁のある数字であり、この記念すべき年の幕開けを飾るライブという意味では、どこか“原点回帰”を思わせ、それでいて「私たちはエンターテインメントを止めずに届け続ける」（鈴華）と前に進もうとする逞しさやポジティブさも感じられた今年の『大新年会』。苦難の時代にも、あらゆる可能性を探り、挑んでいく彼らの今後にも期待が高まるステージだった。