SHISHAMO、マカロニえんぴつらに次ぐ“青春感”漂う気鋭バンド ハク。からChilli Beans.、YMB、グソクムズまでピックアップ

ハク。ら“青春感”漂う気鋭バンド

 ロックバンドが歌う青春の風景はいつだって聴き手の心を掴んで離さない。Mrs. GREEN APPLEは等身大の葛藤を描き、SHISHAMOは日常の中のときめきや悲しみを歌にし続ける。マカロニえんぴつは複雑な恋心を綴り、ズーカラデルは生活に滲む情感を言葉にする。学校や10代というシチュエーションに留まらず、胸を締め付ける思慕や情景にまつわる音楽には“青春感”が漂う。本稿ではそんな“青春感”を持つ新進気鋭のバンドたちを紹介したい。

 Chilli Beans.は2019年結成の3ピースバンド。音楽塾ヴォイスのシンガーソングライターコースで出会ったということもあり、全員が楽曲制作に携わり、またMV編集も行うなど結成当初からマルチなクリエイティビティを発揮する新世代のバンドだ。

 ロックサウンドを土台にしつつ、ダンサンブルかつキャッチーに仕上げた楽曲は一聴して小躍りしたくなる軽快さを持つ。歌詞の面では恋心の移ろいや孤独との付き合い方など若い世代に刺さる等身大のテーマが光り、バイラルチャートでヒットを飛ばしている現状も納得である。同門のVaundyとの共作で作られた最新曲「アンドロン」は唱歌のようなメロディラインとフック満載の言葉選びでうまくいかない恋愛のもどかしさを表現。オントレンドなビートメイクやダークな空気感も含め、最新型の“青春感”を体現している。

Chilli Beans. - アンドロン (Official Music Video)

 YMBは2015年に大阪で活動を開始。宅録で楽曲制作を行っていた宮本佳直(Gt/Vo)を中心とする4人組バンドで、2021年6月には3rdアルバム『トンネルの向こう』をリリースした。ソウルに根差したメロウな楽曲と宮本といとっち(Ba/Vo)による和やかなツインボーカルが印象的だ。

 生活感溢れる楽曲のみならず、題材はシリアスなものも多い。気忙しい日々と戦う意思表示を心地よいグルーヴに乗せた「水曜日の街、金曜日の街」や穏やかでキラキラとした曲調の中に静かに湧き立つ気分を表現した「little escape」などで一貫して人生の苦味が歌われている。“大人の青春”とも呼ぶべき、迷いと嘆きを描く楽曲たちは多くの人に寄り添えるはずだ。

YMB 『水曜日の街、金曜日の街』 Official Music Video

 グソクムズは2014年結成。“シティフォークバンド”とその音楽性を自称する通り、都会的なムードの中にフォーキーな歌を宿すバンドだ。はっぴいえんどやサニーデイ・サービスの系譜に位置づけられるウェルメイドな楽曲と温かくもパワフルな演奏が特徴的である。

 渋みのある歌声が耳を惹くが、歌詞は意外にも甘酸っぱいラブソングが多い。丁寧になされた情景描写と一瞬の心の動きを捉えた表現によって“青春感”も絶妙に散りばめられている。「すべからく通り雨」における〈君はあの子と相合傘 帰路を急ぐ野良猫と目が交ざり〉という一節や、「泡沫の音」の〈外は砂混じりの雨 流れる髪はね 今日も綺麗で〉というフレーズは、詩として読んだ時にも古風な美しさを放っている。このレトロな質感は昔を懐かしむ世代のみならず、新しい感性を持つ世代にも味わい深いものとしてきっと受け入れられるはずだろう。

グソクムズ - すべからく通り雨 (Official Music Video)

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