藤井 風、各方面から注目集める所以 『紅白』初出場を前に3つのポイントから解説

愛らしい人間性

 音楽的な面以外にも彼の魅力は多い。その一つが人間性である。ライブのMCなどでは日本語と英語を操りボーダーレスなステージを展開。しかし、だからといって過度にアーティスト然としているわけでなく、どことなく近所のお兄ちゃん的な親しみやすい雰囲気を醸しているのが面白い。というのも、地元の岡山弁を多用するため、喋る姿に親近感が湧いてくるのだ。音楽的な部分は大前提として、彼のその個性的で愛らしいキャラクターに惹かれている人も多いのではないか。ピアノを華麗に弾きこなす姿と、普段のゆるっとした会話のギャップに、戸惑いながらも惹かれてしまう。

 さて、彼が今年発表した新曲は3曲だったが、そのどれもが存在感を示すものだった。3月にリリースした「旅路」はドラマ『にじいろカルテ』(テレビ朝日系)の主題歌。5月に発売した「きらり」は前述した通りHonda『VEZEL e:HEV』CMソング。9月リリースの「燃えよ」はGoogle Pixelとのタイアップ。さらにMISIAに「Higher Love」を楽曲提供するなど、徐々に活動するステージもステップアップしている印象だ。そのなかで、昨年12月から今年1月までは全国ホールツアーを開催し、9月には日産スタジアムでの無観客ワンマンライブ、10月から11月までは全国アリーナツアーを行うなど、ライブにも精力的に取り組んできた。今回の『紅白歌合戦』は、彼にとってその集大成と言うべき一夜になりそうだ。今年最も勢いのあった彼の勇姿を大いに期待したい。

 今この“荒れ狂う”時代に、藤井 風がさらりと駆け抜けていく瞬間を、目撃できることを心から嬉しく思う。

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