Homecomings、4人の強さが作り上げる美しさ イベント『here』にも表れた着実に積み重ねてきた歴史

Homecomings、4人の強さが作り上げる美しさ イベント『here』にも表れた着実に積み重ねてきた歴史

 場内が暗転し、ニコの「These Days」が流れ出した。神秘的な女性シンガーとしての彼女に宿る普段の生真面目さというか、どこにでもいそうなひとりの不器用な人間としての一面を垣間見せるような曲だ。この曲を提供し、ギターを弾いているのは、ジャクソン・ブラウン。この曲が世に出た1967年には、彼が70年代にはロックシーンで最重要シンガーソングライターとして評価される未来は、まだ誰も知らない。

Homecomings(写真=Tetsuya Yamakawa)

 ほどなく、Homecomingsの4人がステージへ。その歩みは颯爽と、というより淡々とした自分たちのペース。これからメジャーデビューを控えるバンドなんだからもう少し明るくてもいいんじゃないのと言われそうだが、このタイミングでも自分たちらしさからズレることのない彼らの姿は、自分たちがやってきたことへの信頼の表れだと感じた。

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 この日のイベント『”here”』はHomecomingsが羊文学を対バンに迎えたツーマンライブ。平日だったが、午後と夜の2回公演で行われた(ぼくが見たのは夜の部)。先に出演した羊文学のボーカル/ギターの塩塚モエカは、HomecomingsのファンだとMCしていた。2回公演の準備があるため午後はステージ袖から見たが、夜の部ではちゃんと客席から見ることができるとうれしそうに語っていた。

 これからもっと世に知られていくであろうHomecomingsのキャリアが、すでに若い世代にリスペクトされているというのは不思議なパラドックスにも思えるかもしれない。まだ若い彼らだが、2010年代の京都で注目され、着実に積み重ねてきた歴史がある。

 この夜、彼らが1曲目に選んだ「Cakes」(2019年4月)もそう。同年に公開された今泉力哉監督の映画『愛がなんだ』の主題歌に起用され、映画のロングランヒットともに彼らの名をひとつ上のステージに押し上げるきっかけとなった曲だった。

 インディーデビューした2013年以来、一貫して英語詞で歌ってきた彼らが、日本語詞に向かったのが2018年10月リリースのアルバム『WHALE LIVING』だった。「Cakes」はその試みをより広いフィールドに届けた曲だったと言えるが、『WHALE LIVING』にしても「Cakes」にしても、不思議と“大きな方向転換”とは思わなかった。日本語への切り替わりはひとつのチャレンジではあったが、語るべき世界がしっかりとできているから、とってつけたようなものにならなかった。

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 ソングライターである福富優樹(ギター)、畳野彩加(ボーカル/ギター)は、USインディーやギターポップなど音楽的な嗜好が共通しているだけでなく、海外の映画(とりわけ現代アメリカの学園映画やインディー映画)、文学にも大きな影響を受けている。漫画家・イラストレーターのサヌキナオヤとともに続けている映画とライブのイベント『New Neighbors』も、彼ららしい試みだ。二人はHomecomingsでの英語詞にも、そうしたカルチャーから感じ取った心象風景と自分たちを重ね合わせて音楽にフィットさせ、かけがえのない物語にする曲作りを続けてきた。

Homecomings(写真=Tetsuya Yamakawa)

 ちょうどステージでは、英語詞の「LIGHTS」(2016年5月リリースの2ndアルバム『SALE OF BROKEN DREAMS』収録)に曲が変わった。まるで制服の衣替えをしたくらいの感覚で、かつての曲も今の自分たちを表現した曲も行き来できる。

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