斎藤宏介と須藤優によるXIIX、表現の幅やテクニックで圧倒 ライブならではのアレンジで楽曲届けた『USELESS+』ツアー

XIIX『USELESS+』ツアーファイナルレポ

 斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN)と須藤優によるバンド・XIIXが、ライブツアー『USELESS+』のファイナル公演を12月16日に東京ガーデンシアターにて開催した。アルバム『USELESS』を携えたツアーだが、ライブならではのアレンジを楽曲に詰め込み、音源とは一味異なる洗練されたサウンドをリスナーに届けた一夜だった。

 XIIXの2人とサポートメンバーの3人が登場。彼らが幕開けの1曲に選んだのは『USELESS』の1曲目に収録されている「Halloween Knight」。イントロの妖艶なベースソロで早くもリスナーの心を鷲掴みにしていく。続く「LIFE IS MUSIC!!!!! 」では須藤もクラップをしたり、斎藤が前に出てギターソロを弾いたりして盛り上げる。「ようこそ! XIIXです、お久しぶり! 今日は我々の演奏に身を委ねて自由に楽しんでください」という挨拶を挟み、「フラッシュバック」へ。ゆったりしたメロディの中にポエトリー調の歌声が取り入れられているのが新鮮だった。

XIIX(写真=Viola Kam (V'z Twinkle))

 MCでは、ツアーが終わってしまうことが本当に惜しいが、この日のために緻密に作ってきたものを一旦全部壊して再構築したと、ツアーファイナルへの意気込みが語られた。そこから音の空白を活かしたリズム感が印象的な「ブルー」で再びライブがスタート。その後は、壮大な演奏の中で鳴らされる16分打ちのハイハットやメロディックなベースソロが光る「Light & Shadow」、メロウなナンバー「おもちゃの街 」、須藤と斎藤が向かい合って演奏するシーンも見られた「No More」を続けて投下していく。

 「せっかくなので次は2人で何曲かやってもいいでしょうか」という声かけのあと、サポートメンバーが一旦捌け、須藤と斎藤が椅子に腰を掛けたアコースティックステージに。2人が初めて一緒に編曲した曲だという「E△7」をアコースティックアレンジで披露すると伝えた。演奏し始める前に、「ちょっと待ってくださいね」と言い、ルーパーを操作する斎藤。この場限りの作りたてのビートに乗せた特別バージョンで奏でられた。

 斎藤は、「自分がアコースティックライブをやることに全く興味がなかったけど、いざXIIXでやってみると、音楽的に自由だし、ある意味バンドより熱の伝わる歌が歌えると気づいた」と話す。そして、“バンド編成よりも熱い曲があったら”という思いのもと制作されたという「ハンドレッド・グラビティ」が引き続きアコースティック編成で届けられた。序盤はベースとギターの掛け合いがミドルテンポで行われるのだが、徐々にテンポアップして音数が増え、楽曲の迫力も拡大。後半は須藤のスラップや斎藤の歌も織り交ぜられ、独自のグルーヴを生み出していく。ライブならではなアレンジをふんだんに取り入れたアコースティックパートは、間違いなくこのライブのハイライトだった。

XIIX(写真=Viola Kam (V'z Twinkle))

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