UNISON SQUARE GARDEN、『Spring Spring Spring』ツアーを完全再現 リバイバル公演ならではの面白さ
UNISON SQUARE GARDEN『Revival Tour "Spring Spring Spring"』のファイナル公演が5月20日に東京ガーデンシアターにて開催された。
2012年に行われた、UNISON SQUARE GARDEN初のZepp Tokyo公演のリバイバルであった本公演。つまり、はじめからセットリストは公開されていたも同然、それどころか当時も参加したファンからすれば懐かしいことこの上ない公演である。UNISON SQUARE GARDENの9年の進化をわかりやすい形で再認識させられたと同時に、今の情勢下に行うからこその意義も見出すことができる公演であった。
SEが流れる中、暗転したステージにメンバーのシルエットが浮かぶと、会場からは割れんばかりの拍手が鳴り響く。普段自由に歓声をあげるオーディエンスが代わりに心からの拍手を送るさまは、リバイバル公演の開催とステージに足を踏み入れたメンバーを祝福しているようにも見えた。
SEを切り裂くようにして「overture~Spring Spring Spring~」でライブは幕を開けた。斎藤宏介(Vo/Gt)が「おまたせ!」と一声あげると「フルカラープログラム」を披露。田淵智也(Ba)は広いステージを飛び回り、鈴木貴雄(Dr)は立ち上がって客を見渡す。サビ終わりに斎藤が微笑みを見せるなど、観客を前にしてライブを行うことを純粋に楽しんでいる様子だ。フロアも手を挙げ身体を揺らし、声を出さずに思い思いに音を浴びて反応する。
「プロトラクト・カウントダウン」では〈君を泣かせる世界の方がおかしいよ〉〈こんな時代に生れ落ちたんだ〉とどこか現状に通ずる歌詞に励まされるような感覚がある。抜けのいいドラムと存在感のあるベースの見せ場からのギターソロと、次から次へと飲み込んでいくような勢いを序盤ながらに展開していく。
湧きあがった拍手を遮るように「23:25」が始まると、オーディエンスが飛び跳ねて応える。9年前のセットリストなので結果論でしかないかもしれないが、今回のセットリストはこの時世に寄り添うような、どこか前向きな楽曲が多く構成されている。今回ライブの決行を選択したことも含め、MCでも語られた彼らの「できることをやる」「やれることをやる」というシンプルな考えは、9年前のセットリストの楽曲からもにじみ出ており、バンドの核となるマインドを感じた。
ミドルテンポが穏やかでありつつ、一音一音の迫力がある「空の飛び方」、小気味いいギターが特徴の「デイライ協奏楽団」、サビの声色が優しい「スカースデイル」とライブは展開していく。2012年の公演当時は新曲として披露された「誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと」は現在ではバンドの人気曲のひとつとして数えられる。楽曲から時の流れを感じることができるのもリバイバル公演の面白さだろう。
鈴木は土台としての安定感と圧倒的な手数で楽曲を支え、田淵は演奏しながらステージを縦横無尽に動き回る。必要以上の煽り文句や感傷的なMCを加えないユニゾンだが、彼らの情動は手に持っている楽器によってオーディエンスにこれでもかと突きつけられる。
「9年後にまた『Spring Spring Spring』のリバイバルリバイバルをやりたいくらい楽しかった」と語った斎藤は、9年前と同じく「ついてこれる人はついてきてください」と言い残し、怒涛のメドレーに突入。曲数、曲ごとの尺ともにボリューミーなメドレーは「ライドオンタイム」からはじまり、「等身大の地球」「MR.アンディ」「CAPACITY超える」と、激しい演奏をたしかな技術でコントロールしながら9年前と同じように続いていく。メドレー終盤、斎藤と田淵が捌け、鈴木のドラムソロへと移る。緩急のあるドラムソロが目まぐるしくフレーズを変えながら繰り広げられていく。一度拍手を浴びて終了かと思いきや、さらにラストスパートを畳みかける持久力には感嘆するほかない。さらに熱気が増したステージに戻った田淵と斎藤は、鈴木のドラムプレイに触発されたように生き生きしており、続く「ガリレオのショーケース」では鈴木のドラムも2人とともにさらにヒートアップする。「ついてこれる人はついてきてください」の意味をひしひしと感じる。振り落とされかねない勢いと持久力だ。