ずっと真夜中でいいのに。のライブを今観るべき理由 一味違う演出で魅了した『MTV Unplugged』から考察

 トリッキーな曲構成、あらゆる楽器を駆使して作る先進的なサウンド、独創的で感覚的な言い回しが光るリリックなど、唯一無二な立ち位置で音楽シーンで存在感を発揮し続けているずっと真夜中でいいのに。世界観にこだわったアニメーションMVも特徴で、『MTV VMAJ 2021』では「暗く黒く」が「最優秀オルタナティブビデオ賞」を受賞している。

 そんな彼らが、12月4日に『MTV Unplugged: ZUTOMAYO』に出演した。『MTV Unplugged』は、数多くのトップアーティストが出演してきた、アメリカの音楽専門チャンネルであるMTVのライブ番組。最大の特徴は「Unplugged=プラグを抜いた」というタイトルの通り、アコースティックな手法でライブを行う点であり、普段とは違ったアーティストの姿を見られるのが魅力だ。音楽面のみならず、ビジュアル、演出においても「一味違う」を体現し続けているずとまよだが、「Unplugged」ライブを切り口にそのライブパフォーマンスの魅力について探ってみたい。

 ずとまよの音楽で面白い点の1つは、そのサウンドの多彩さだ。過去のライブではテレビや電子レンジまで楽器として使用してきたが、一言で言えば、「なんでも楽器にする」。「Unplugged」のライブにも、毎回ずとまよのライブを支えているOpen Reel Ensembleが登場。オープンリールを楽器として演奏するユニットで、リールやテープに直接触れながら生み出す音色は、異世界に迷い込んだような不思議な雰囲気を醸し出し、「ろんりねす」などセンチメンタルな楽曲をより幻想的なものへと変えた。

 また、こちらもずとまよのライブを観たことのある人はピンとくるかもしれない、謎の扇風機型の楽器。今ではほとんど見かけなくなったレトロな扇風機をACAねがギターのように構える様子は、ビジュアル的にもインパクト大だ。「マリンブルーの庭園」で使われた際には、扇風機が奏でる歪んだ不安定な音に、なんとも言えずノスタルジーな気持ちを掻き立てられた。

 他にも、ACAね自身がオープンリールを操ったり、子ども用の小さな木琴を木のスプーンで叩く場面もあり、ライブだからこそのずとまよの音づくりの面白さを垣間見ることができる。

 何でも楽器にするし、演出も何でもアリなのがずとまよだ。フードデリバリーサービスをもじった「ZTMY EATS」では、おなじみの四角いリュックを背負った男から、ACAねがピザボックスを受け取ると、その中に入っていたオープンリールをセットし、ピザも食べる……というシュールな光景を展開。過去のライブでも、ステージ上で洗濯機を回したり、新聞紙を読んだり、布団叩きしたりしているずとまよだが、生活感のあるアイテムをライブに持ち込むことで逆に非現実性を演出し、夢の中にいるかのような奇妙な世界に引き込んでいく。

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