松下洸平、自然体であり特別な魅力 俳優、歌手……表現者としてのリアリティ
松下洸平の歌声ーー芝居に通ずる誠実さ
2021年8月、音楽活動を本格的に再開。松下洸平名義にて再メジャーデビューを果たした。ノスタルジックなミディアムバラード「つよがり」は、真っ向勝負ともいえるストレートな楽曲だ。ミュージックビデオでは、松下の「語らぬ芝居」が活きており、より一層、歌詞が切なさを増す。クセのない歌声は、話す声よりも少しだけ甘く、明るく、輪郭はハッキリとしながらもまろやかで、耳心地が良い。芝居に通ずる誠実さを感じるのだから、もはや松下元来の性質なのだろう。
松下自身が作詞・作曲した「みんなが見てる空」は、語りかけるような歌声と、美しいファルセットが印象的だ。スロウだがポップな楽曲だからこそ 〈嗚呼会いたいな〉と、ふとこぼれ落ちたような歌詞が、願いのごとく伝わってくる。
「こういう歌詞を書くのか」と、正直なところ意外だった。綴る言葉はあまりにもまっすぐで、芝居を通して観る「松下洸平」よりも等身大だ。洸平時代の楽曲、たとえば「涙の中に君がいる」もまた、きっと当時の正直な言葉を綴っていたのだろうと感じる。
12月22日には、ミニアルバム『あなた』のリリースが決定している。リードトラック「あなた」では、ピアノの弾き語りにも挑戦。YouTubeにて、ミュージックビデオのメイキング映像が公開されているのだが、ピアノに向かう佇まい、優しい歌声は、自然体だがやはり「いそうでいない」、特別な魅力を放っている。
芝居はもちろん、これからは音楽を通して、知らなかった松下の素顔に出会えることを期待している。