LiSAからAimerへ、『鬼滅の刃』遊郭編に引き継がれた作品愛 「残響散歌」から紐解く

 さて、「残響散歌」である。作詞はaimerrhythm(Aimer本人)、作曲は飛内将大、編曲は玉井健二・飛内将大とAimerの曲ではおなじみの座組となっているが、ブラスやピアノを大胆に取り入れたスピード感溢れる曲調は新境地とも言える。派手なものを好む宇髄のキャラクター、そして『遊郭編』の舞台となる艶やかな夜の街のイメージからこのようなアプローチを選んだのだろう。上物の煌びやかな音色とは対照的に、下層に沈殿するAimerの歌声が特有の引っ掛かりを生み、華やかな世界に潜む愛憎のようなものを感じさせる。

Aimer「残響散歌」MUSIC VIDEO(テレビアニメ「鬼滅の刃」遊郭編オープニングテーマ)

 「残響散歌」というタイトルだけでなく、〈声〉、〈響き渡れ〉、〈奏でて〉、〈歌〉など音にまつわる言葉が歌詞に多く登場するのは、宇髄が“音の呼吸”の使い手だからだろうか。歌詞は宇髄の生い立ちを彷彿とさせるが、一部『古今和歌集』に収められている和歌からの引用と思われる部分があり、そこから紐解くと別の解釈も可能になる。この構造は、炭治郎の所属する鬼殺隊側だけではなく、鬼になってしまった人の過去や成り立ちも同じくらい詳細に描写する『鬼滅の刃』の姿勢とリンクするものだ(おそらくその裏にあるのは“完全な善も完全な悪も存在しない”というメッセージだ)。

 なお、エンディングテーマの「朝が来る」は、「明け星」や「白銀」、「炎」をLiSAとともに制作した梶浦由記が作詞・作曲・編曲したとのこと。60分にわたって放送された『遊郭編』第1話では例外的に「残響散歌」がラストに流れたが、おそらく次回以降放送されるであろう「朝が来る」がどのような曲か楽しみだ。

※1:https://www.sonymusic.co.jp/Music/Info/aimer/insane-dream_us/
※2:https://www.sonymusic.co.jp/artist/aimer/discography/buy/SECL-1967
※3:2021年9月25日 LiSA公式Twitterより(https://twitter.com/lisa_olive/status/1441775225658482688)
※4:2021年9月25日 Aimer公式Twitterより(https://twitter.com/aimer_and_staff/status/1441775925041848323)

※記事初出時、一部表記に誤りがございました。訂正の上、お詫びいたします。



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