緑黄色社会×WOWOWオリジナルライブ ミラーボーラーとの演出で創り上げた生命力に溢れたステージ

緑黄色社会×WOWOWオリジナルライブレポート

 緑黄色社会のWOWOWオリジナルライブが放送・配信される。ミラーボールを使った光と反射による空間作品を創りだすアート集団“ミラーボーラー”による、きらびやかで幻想的な空間と、今回のライブのためだけに構成されたセットリストによって、今までに体験したことのないライブ映像に。楽曲に込められたメッセージ、躍動感溢れるステージ。4人が今伝えたいと望むものが溢れるライブになった。

ミラーボールとライティングが映し出した生命力の輝き

 序盤は約200個のミラーボールを組み合わせて作られたオブジェによって、カラフルできらびやかな空間が演出された。オープニングを飾ったのは、WOWOWのスポーツコンテンツ『アーバンスポーツ(URBAN SPORTS)』の関連番組テーマソング「merry-go-round」。赤や緑、ピンク、黄色、ブルーなどのカラフルなライトが無数のミラーボールに反射する中で、熱い演奏と情緒感たっぷりの歌声が響き渡った。

 色彩感覚溢れるライティングは、緑黄色社会の楽曲の魅力を引き立てていた。情緒感のあるボーカルが印象的な楽曲では、紫とグリーンが混じってまるで古びたポラロイド写真のような色合いのライティングが想像力をかき立てる。また「LITMUS」では、青い月明かりに照らされたようなライティングの中で、心に秘めた思いをくすぶらせるようなエモーショナルな歌声を聴かせた。楽曲によってはメンバーが美しいコーラスを聴かせ、憧れた夢や希望の象徴であるかのような暖かな光が、優しく4人を照らした。

 中盤は高さ3.6メートル、直径7.2メートルの“光のドーム”の中で、アコースティック編成による演奏が披露された。見る角度で色が変わって見える偏光フィルムが、ステンドグラスのように組み合わされたドームの中は、まるで万華鏡の中にいるような幻想的な雰囲気。その中には、緑黄色社会を象徴する緑のオブジェが彼らを見守った。

 特に聴き応えがあったのは、長屋晴子(Vo)とpeppe(Key)の2人による楽曲だ。「包まれている感じがするね。何か、私たちらしくない? 緑の感じとか」とpeppeが語りかけると、長屋は「そうだね。この空間に入るのはもちろん初めてなんだけど、すごく落ち着く」と答え、静かに語り合った2人。peppeのシンプルで力強く、時にトリッキーに奏でられるピアノと、その中をたゆたうように流れる長屋のボーカル。和やかな中にも心地よい緊張感がみなぎる演奏に、胸がキュッと締め付けられる思いがした。

 しっとりしたムードから一転、終盤は光のドームをバックにしたシチュエーションと鮮やかなライティング。穴見真吾(Ba)によるバキバキとしたチョッパーベースと小林壱誓(Gt)による速弾きギターの応酬というメンバーのソロプレイから、賑やかなポップナンバー「Mela!」へとなだれ込む。まるで視聴者をあおるように、手を左右に振りながら登場した長屋と、〈ラララ〉とコーラスを歌うメンバーの笑顔で、ライブ空間が一気に華やいだ。

 ユーモアを交えた変則的な演奏で、バンドの楽しさが詰め込まれた「Alice」。メンバー同士で目を合わせ、無邪気な笑顔が溢れる。ラストは「sabotage」。走り出す瞬間を切り取ったような勢いと疾走感。自分らしく生きることの素晴らしさ。4人の歌と演奏が、聴く者の背中を力強く押してくれた。

 コロナ禍を経て感じたこと、日常が戻りつつある今、アフターコロナをみんなとどう過ごしたいのか、緑黄色社会の4人のメッセージが込められたセットリスト。そこに光に満ちあふれたきらびやかなセットが相まって、生命力に溢れた印象のステージ。今を生きる命の輝きが、躍動感溢れる楽曲と共にきらめいていた。

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