MAISONdes、躍進の1年に見るシーンでの存在感 「2022年ヒット予測」にもランクインでさらなる広がりへ

MAISONdes、躍進の1年に見るシーンでの存在感

 この2年弱で、音楽制作の形、またリリース形態の主流が大きく変化した。ことリリース形態に至っては、コロナ禍での巣ごもり生活もあり、一気に配信リリースが普及した。2020年の年間Billboard JAPAN総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”で、YOASOBIの「夜に駆ける」が、年間チャート発表開始以来、初めてシングル盤をリリースしていない楽曲として総合1位を飾ったのが、その証と言えるだろう。配信リリースの普及により、音楽制作の形も以前にも増して多様化してきた。特にここ数年で目立つようになってきたのが、コラボレーション楽曲の多さだ。ザ・キッド・ラロイとジャスティン・ビーバーの「Stay」など、2021年、世界的大ヒットとなった曲もある。

MAISONdes 管理人

 そんな中で、日経トレンディと日経クロストレンドによる「2022年ヒット予測ランキング」にも登場した興味深いプロジェクトがある。それが、2021年2月YouTubeチャンネルに動画投稿を開始したMAISONdes(メゾン・デ)である。コンセプトは、“どこかのアパート。六畳半。あなたの歌”。アーティストやクリエイターを“MAISONdes”の住人と見立て、様々なコラボーレション楽曲を発表している。アートワークはイラストレーターのNAKAKI PANTZが手掛けており、各部屋のワンシーンを切り取ったイラストが描かれている。作品番号が部屋番号になっていたり、リリックムービーの始まりが各部屋のドアをノックする演出で統一されていたりと、しっかりディテールまでこだわり、コンセプトを貫いている。

 11月中旬現在、MAISONdesとして発表した楽曲はリミックスも含め8曲あるが、そのどれも文句なしのハイクオリティ。コラボレーションによる多彩さを武器にしながらも、トレンドを抑えたビート感や、洗練されたバックトラック、少し憂いあるボーカルや、タイトでキャッチーなメロディラインなど、音楽好きのツボを押す楽曲がズラリと並んでいる。ゆえに、活動開始時から熱心な音楽リスナーから注目を集めていたMAISONdesであるが、この“アパート名”の知名度を一気に上げたのが「ヨワネハキ feat. 和ぬか, asmi」の大ヒットである。〈そういやさ そういやさ〉という歌詞を、祭囃子の“そいやさ”“よいやさ”を彷彿させるメロディラインにのせた軽快なフレーズで、TikTokから火が付いた同曲は、Billboard JAPANが発表している「TikTok HOT SONG Weekly Ranking」で、8月に3週連続で首位を獲得している。

【102】[feat. 和ぬか, asmi] ヨワネハキ / MAISONdes

 また8月25日にYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」に登場したのも、これ以上ないベストなタイミングだったと言えるだろう。新人からベテランアーティストまで広く網羅している「THE FIRST TAKE」は、普段あまりYouTubeを観なかった層まで巻き込んだ人気コンテンツだ。そこに登場することで、TikTokユーザーのみならず、より幅広い層に「ヨワネハキ feat. 和ぬか, asmi」、並びにMAISONdesの認知度が広がったのではなかろうか。ちなみに「ヨワネハキ feat. 和ぬか, asmi」は、11月中旬現在、Spotifyでは1600万回超えの再生数を記録。オフィシャルYouTubeでは、視聴回数が2500万回を超えている。

MAISONdes - ヨワネハキ feat. 和ぬか, asmi / THE FIRST TAKE

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