TrySail、麻倉もも&雨宮天&夏川椎菜がそれぞれ磨いたオリジナリティと個性 ツアー『Re Bon Voyage』を観て
柔らかい歌声でメロディラインを丁寧になぞっていく麻倉もも、リズムや休符を意識してリズミカルに歌っていく夏川椎菜、2人よりも低めの声だが透明感溢れる歌声を披露する雨宮天、3人の歌声で編み出されていくボーカルリレーがこの後半戦で全面に活かされていく。
「CODING」ではあまり抑揚をつけない表情が見えづらい3人のボーカルから、DJのようにシームレスに「マイハートリバイバル」では思いきり声を作ってコミカルに歌ってみせる。3人の実力がそれぞれに成長しているからこそ、こういったコミカルさをもしっかりと映えて見せてくれるのだ。
最終曲は「Good Luck Darling」。ピンク・黄色・青と3人それぞれのカラーが会場中を彩る。本編ラストまで一切気を抜かずにパフォーマンスしていくのも、3人がこのライブツアーに向けて強い気持ちをもって臨んでいるからだろう。
『TrySail Live 2021 “Double the Cape”』や『リスアニ!LIVE 2020』でも見られたが、TrySailは黒色の衣装も似合うようになってきた。この日中盤から着ていた衣装も、それぞれ別の形に仕上げられつつ、黒を基調にして3人のカラーが差し込まれたものになっていた。個々のパフォーマンス、オリジナリティが固まってきたTrySail。完成度高いライブパフォーマンスに合わせるように黒色が押し出され、カッコよさでも魅せるTrySailを表現しようというのが伝わってくる。
とはいえ、やはりMCで見られるような無邪気さもまた、3人のカラーなのは間違いない。この日のアンコール2曲目「Baby My Step」は初期から歌い続けてきた定番曲ということで、少しオーバーに歌ってみせる雨宮。そ直後のMCで「何度もやっていて、遊び心が働いてしまった」と明かし、そのあとにも夏川曰く「原宿ポーズ」を3人で決めるなどユーモアあふれるトークを続け、拍手と笑顔に溢れたMCであった。
「今回の『Re Bon Voyage』のツアーテーマは愛。アルバムタイトルの『Re Bon』からリボンを意識したグッズだったり、舞台にもリボンを出してもらったりしてます。今日はここを世界で一番愛のある場所にしよう!」とMCで語ったように、客席全体に視線を送り、時に手を振る3人は、久しぶりに会えるファンとの繋がりを確かめようとするようであった。デビューから5年が経過し、いまの彼女らは無邪気さとカッコよさを備えた無二の存在になろうとしている。