SUPER BEAVERが全てをふり絞って届けた歌と演奏ーー結成15周年を記念した日比谷野音ライブを観て

SUPER BEAVERが全てをふり絞って届けた歌と演奏ーー結成15周年を記念した日比谷野音ライブを観て

 今年、結成15周年を迎え、さらにはメジャー再契約を果たしたSUPER BEAVER。しかし、世界がコロナウイルスの流行に見舞われたことで、記念すべきツアーは中止に。そんな困難にぶつかってもビーバーは、7月に無観客ライブを開催するなど、歩みを止めなかった。そしてついに決定した『SUPER BEAVER 15th Anniversary 都会のラクダSP〜ラクダビルディング&ビルディング〜』。感染防止のためのガイドラインを遵守しながらの有観客と、配信というふたつの形で、ライブが開催されることになったのだ。

SUPER BEAVER
渋谷龍太(Photo by 青木カズロー)

 開演を控えて、会場である日比谷野外大音楽堂の様子が映し出される。当日は秋晴れで、絶好の野音日和。客席にマスクをしたオーディエンスが並ぶ風景だけが、以前と違う。しかし18時を迎えると、声を出せない代わりに万雷の拍手がステージに降り注ぐ。そして渋谷龍太(Vo)が歌い出した――〈ありがとう 見つけてくれて ありがとう〉。「ありがとう」で、1曲目の歌い出しから感謝を伝えてくれるセットリスト。ああ、しょっぱなからビーバーらしいなぁと、胸が熱くなる。客席のオーディエンスも涙をこらえていたけれど、この日が迎えられた喜びを噛みしめているのは、きっと私たちだけではない。メンバー4人の切実な表情も、ていねいな演奏も、すべてをとりこぼさないようにしているように見えた。〈言わなきゃね 死んじゃうから僕らは ありがとね 愛している〉――この歌詞が、リアリティを伴った2020年。でも、演奏を終えた渋谷は「うまくいかないことも、やろうと思っていたことで叶わなかったことも、たくさん経験してきた。ひとつ言えることは、あなたと一緒に生きている今が、俺たちのハイライト!」と叫ぶ。そう、未曽有の事態以前から、彼らは山も谷も駆け抜けてきたのだ。その彼らが歌う言葉、鳴らす音の説得力はハンパではない。客席も――きっと画面の向こうの一人ひとりも、ともに「ハイライト」を作るかのように、思い切り手を伸ばす。いつもはオーディエンスが歌う“♪ララララ”は、柳沢亮太(Gt)と上杉研太(Ba)が絶唱。ふたりにはオーディエンスの気持ちがのりうつっていたに違いない。

 渋谷は「8カ月ぶりです、人の前で歌うのは」と言うと、カメラをのぞき込み「あなたにも感謝です」と呼びかける。コロナ禍以前にも、様々な事情で現場に行けずもどかしい思いをしていたリスナーはいると思う。そういった人たちは、この言葉と画面からほとばしるエモーションが泣けるほど嬉しかったのではないだろうか。そして「あなたがいなけりゃ意味がない! これが俺たちの証明!」と叫び、「証明」へ。これまで築き上げてきた信頼関係が、この状況だからこそ露わになっていく。シンガロングの代わりに手が千切れんばかりのハンドクラップを贈る客席。カメラに「見えてるぞ!」と言う渋谷。きっと本当だったと思う。

SUPER BEAVER
Photo by 青木カズロー

 客席に向けられたマイクへ“心の声”でオーディエンスが歌った「閃光」、藤原”32才”広明(Dr)の力強いドラミングが響いた「361°」と畳みかけ、「誰のせいでもないのがつらいところね。反応がないのもつらいところね」と本音をこぼす渋谷に、精いっぱいの熱がこもった“反応”として拍手が起こる。メンバー一人ひとりのMCでは、「全国各地で配信を観てくれているあなた、ありがとうございます。一人ひとりの選択がすべて正しいと思っています」(柳沢)、「帰ってきた感ありますね。幸せです。やれることをやっていくしかない」(上杉)、「こんな状況だけど少しでも楽しいこと、これからもやるのでよろしくお願いします」(藤原)と、それぞれ誠実な気持ちを話してくれた。渋谷も「いろんなこと考えたね、この8カ月。俺は一体なんのためにいるんだってまで思った。何が正解かわからないけれど、今日はやってよかったって思っている」と胸を張って言い、「やっぱり俺は、あなたの自慢になりたいと心から思います」と、10月21日にリリースされる新曲「自慢になりたい」を披露した。

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