ぜったくん、等身大の姿で魅了したピースフルな夜 さとうもか、kojikojiらも駆けつけた初ワンマンレポ

ぜったくん、初ワンマンレポ

 その後、一転してメロウな楽曲へ。家に一人でいると、つい襲ってくる負の感情を歌った「Bad Feeling」、キュウリを齧る音とともに始まり、レゲエビートに乗せたサビのメロディと歌詞の語感がひたすら心地よい「味噌つけてキュウリ食べたい」と続く。まるで深夜の、まったりとした時間帯のような空気が流れる中、ぜったくんが「ちょっと、あの子に電話をかけてもいい?」とフロアに尋ねておもむろにスマホを取り出した。

「どこにいるの?」

「え、渋谷」

「今ちょうど渋谷でワンマンやってるから歌いにこない?」

「わかった」

 そんなやりとりが続いた後、ステージにkojikojiが現れると会場は静かにヒートアップ。そのまま「Midnight Call」を二人で歌い、深夜に電話越しで繰り広げられる男女の駆け引きを歌った。

 「いい出会いもあれば、悲しい出会いもあるし、いい別れもあれば、悲しい別れもあります」と話し、悲しい別れについて歌った「爪」を披露。この曲は、音数を絞ったファンキーなビートからスウィングジャズへとなだれ込む展開がスリリングだ。さらに、KO-neyのMPCプレイが光る「タクロク」、オールディーズ風味のコード進行やピアノの6連バッキングが印象的な「なんて日だ」と続き、再び会場が暖まってきたところで2人目のフィーチャリングゲスト、さとうもかが登場。二度寝で3時間後の世界線へとワープするという、SFチックな楽曲「sleep sleep」で、息の合ったハーモニーや掛け合いラップを披露した。

 「いろんな世界線があると思うけど、僕は今日ここに来れてよかったです」と話し、「Parallel New Days」を歌うと、その高揚感たっぷりのサビメロに、フロアからは自然発生的にハンドクラップが響き渡り、その光景に感激しているぜったくんの様子に、こちらの胸も熱くなる。そして「温泉街♨」では、この日最後のゲストkou-keiとともに無骨で荒々しい掛け合いラップを披露し会場を沸かせた。

 本編最後には「Catch me, Flag!!?」を演奏。鳴り止まぬアンコールに応え、ギターを片手に再びステージに現れたぜったくんは、この日が両親の結婚記念日であること、2人が上京してきた日であることを、母親から今日届いたLINEで初めて知ったエピソードを明かした。そして、途中で感極まって涙声になるも「090」を歌いきり、最後にシティポップナンバー「NiGHT SHiFTER」を披露し、この日のライブを締めくくった。

 ハイクオリティな楽曲と、熟達したバンドアンサンブル、そしてぜったくんの等身大の魅力が存分に発揮された、ピースフルかつユーモラスそして感動的な一夜だった。

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