SKY-HI、5thアルバムがチャート好調 日高光啓のカラフルな多面性を写すドキュメントに

 例えば「Dive To World feat. Takuya Yamanaka (THE ORAL CIGARETTES)」は、エレキギターの音色が飛び交うロック系EDM。曲の構造は違いますが、〈うるせぇ/ぶっ飛ばそう〉などと歌いながらぐんぐんハイになっていくメロディは、パンクバンドのそれに近いかもしれません。

SKY-HI / Dive To World feat. Takuya Yamanaka (THE ORAL CIGARETTES) -Prod. KM- [Music Video]

 さらに、ちゃんみなと共作した「Holy Moly Holy Night」は純正のロックンロールナンバー兼クリスマスソング。「なんで聖夜にあんたと過ごさなきゃいけないわけ?」と互いに憎まれ口を叩き合う歌詞もずいぶんクレイジーで面白い。そして重要なのは、ここでの二人が自分にしか言えないであろう言葉を散りばめつつ、最後に大爆笑していること。冬の恋人たちの共感を狙うコラボではまったくない、ただ楽しくてやったことだろうとわかります。

ちゃんみな & SKY-HI - Holy Moly Holy Night (Official Music Video)

 さらにいいのはオーディション『THE FIRST』に集まった若者たちがフィーチャリングされていることで、14歳のスター候補が集う「14th Syndrome feat. RUI, TAIKI, edhiii boi」は夢の詰まったギフトのような一曲。SKY-HIがプロデューサー目線で若者を導くのではなく、自分も14歳の気分で〈もっとやべーラップ〉などと口走っているのも笑ってしまいます。ただハッピーでポジティブな空気が伝わってくる曲です。

 ラストはこれまたオーディション参加者、REIKOと作り上げたバラード「One More Day」。君がいることで僕はひとりじゃない、との結論を導き出し、アルバムは温かい余韻を残して終わります。虚構と現実に引き裂かれるラッパー・SKY-HIがもういないという事実。武装服はもう不要なのでしょう、気の置けない仲間とのフィーチャリングが多いのも納得です。

 使い分けたペルソナ、ややこしい肩書きが全部バラバラになって、人間・日高光啓の豊かな多面性が表れた。そういう、あまり類を見ないドキュメントのようなアルバム『八面六臂』。これがしっかりチャートインするのは健全ですね。

SKY-HI / One More Day feat. REIKO (Prod. Matt Cab) -Music Video-

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