SKY-HI、5thアルバムがチャート好調 日高光啓のカラフルな多面性を写すドキュメントに

参照:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2021-11-08/

 今週のオリコンアルバムチャート、1位はV6の『Very6 BEST』でした。ただし彼らの歩みと現在についてはラストオリジナルアルバム『STEP』が1位となった9月に書いているので、ここは割愛。初登場5位、約1.4万枚セールスのSKY-HI『八面六臂』を取り上げます。

 その名前をどのように知るか、どんな角度から知ったか。それによってSKY-HIほど印象の変わるアーティストもあまりいないでしょう。AAAの日高光啓が始めたヒップホップ、なんて言い方をすれば「人気ダンスグループの人が趣味でやっていること?」と誤解されがち。ですが、SALUとのコラボではプロデューサーのAPROやChaki Zulu、GroovyRoomが参加、との情報が入り口なら、「なるほど、この人はアジアを射程圏内に入れて活動する本格派ラッパーか」と納得する。また、アニメ『ガンダムビルドダイバーズ』(テレビ東京系)の主題歌「Diver’s High」が最初のきっかけなら、「ラップも得意な、華やかな男性ポップシンガー」と認識するのが普通だと思います。さらにもうひとつ、昨年からはボーイズグループ発掘オーディション『THE FIRST』が始まったので、今では「私財を投じて若者たちのための企画を始めた、志の高いプロデューサー」と受け止める向きも多いはずです。

SKY-HI / Diver's High

 そして、そのどれもが必ずしも間違いではないから、SKY-HIは面白いしややこしい。複数のペルソナを使い分けつつ、自分が今どう見られているのか俊敏に察知し、常にギャップに引き裂かれてきたのが本人なのだと思います。

 ことにAAAが活動中だった頃は、どこに行ってもグループの名前が先行してしまうから、SKY-HIの屋号はいわば「自分の本気度を知らせる武装服」として機能しました。リリックは毎度鋭く研ぎ澄まされ、曲によってトラックも徹底的にドープになる。その極みが前作の『JAPRISON』。監獄の中でもがく自分をそのまま投影した内容は、心臓を抉られる生々しさと孤独を感じさせました。笑顔が基本のエンタメカルチャーに身を置きながら、あくまで自身のリアルを追求するヒップホップ、もしくはアンダーグラウンドのマナーが染みついている人間を、我々はあまり知りません。

 さて、新作『八面六臂』。これが前作とは打って変わって風通しのいい内容で驚きました。スタートはシリアスなヒップホップ。深い内省と鋭い挑発を混ぜながら、しばらくはモノクロのイメージで進みます。ここは前作の延長上。ただ、5曲目「Tomorrow is another day feat. Michael Kaneko」から空気はふわりと変わり、以降、すこぶるカラフルになっていくのです。

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