ZIPANG OPERA spi&心之介、個を尊重し合うグループの在り方 4人で目指す新たなジャパニーズポップとは?

ZIPANG OPERA、グループの在り方

「失敗しても再び花を咲かすことはできる」

ーーそんな皆さんで作り上げた1stアルバム『ZERO』ですが、制作はどのように進めていったのでしょう?

spi:「いろいろな曲調に取り組もう」ということで、和な要素だけでなく広いジャンルに挑戦しましたね。それをZIPANG OPERAの色にしていこう、と。

心之介:デモ曲を確認した段階で「早く録って聴いてみたい」という気持ちが強かったです。実際にレコーディングも楽しかったですね。ただ、制作自体はかなり急ピッチで。

spi:確かに今回はスピード感が勝負でしたね。14曲を1カ月くらいで録りましたし。

心之介:公演のリハーサル後に録ったりもしていました。思い返すと大変だったかもしれません(笑)。

ーー制作のなかで、特に印象深い楽曲があれば教えてください。

spi:「DRAGON FIREWORK」の〈天翔けるFire〉という歌詞が強烈で、それが頭から離れず、ひと月くらい何かあるごとに友達とかに言ってました。パワーワードですよね。

ZIPANG OPERA - DRAGON FIREWORK (Official Performance Video)

心之介:その点で言うと、僕が作詞もしている「開華」のサビ前に出てくる〈咲き誇れ from JAPAN〉もよくないですか?

spi:あれもよかったね。

心之介:「文明開化」とか「百花繚乱」をイメージした言葉なんです。今っていろいろな人が才能を開花させて咲き乱れる世の中だと思うんですよ。誰にでもチャンスや活動の場があるし、失敗しても再び花を咲かすことはできる、という想いで書きました。あとは海外の人が聴いた時に驚かれるものを作りたくて、作曲のTeddyLoidさんに「1コーラス目の終わりにお経を入れたい」とも伝えたんです。

spi:心はこういう話になると本当に真面目だよね。

心之介:(笑)。あと「JAPAN」というワードも破裂音なので入れたいなと思っていたんです。ZIPANG OPERAが新しいことをしていく先駆けになるようにと思って作詞したので、他の3人が歌っているものを聴いてグッときたのも覚えています。

ーーラップも積極的に導入されていますが、それについては?

spi:歌の経験は多いのですが、ラップになると技術や引き出しがないので「こういう感じで」というディレクションに対応できない時もありました。一筋縄ではいかない奥深さを感じたので、これからも取り組んでいきたいです。

「クリエイターがインスパイアされるものを作っていきたい」

ーーそれからソロ曲も4人それぞれ収録されています。まずspiさんの「I Believe」は、アルバムの中では少ないバラード曲となっていました。

spi:僕から「バラードを歌わせてほしい」と言ったんです。演出家の植木豪(PaniCrew)さんが緻密な日本人の男性のイメージを時計に重ねて、それを起点に曲と歌詞にはめたのがこの曲。公演では照明さんや映像さん、作詞家さん、作曲家さんなど、ZIPANG OPERAは1曲に関わっている人数が多いので、全員の想いを背負ってパフォーマンスするという気持ちで挑む曲になっています。

ーー心之介さんが自身で作詞作曲した「HATE DISTANCE」は、今の社会的なことについて歌っているとも感じられました。

心之介:僕はコロナ禍の真っただ中で、人同士や社会に隔たりがあることが嫌いだと自分で気付いたんですよ。個人的には引きこもりだったり、ネガティブな一面もあるのですが、人と関わることで得られる幸福感や満足感がなくなることに苛立ちを覚えていて。なので〈I HATE DISTANCE〉という歌詞はすぐ浮かびましたね。自分の主観で感じたことなのでソロ曲にもぴったりかなと。またそれに反抗するだけじゃなく、聴き手を迎える部分もないといけないとも思っているので、この曲の自己肯定が誰かの支えになったら嬉しいです。

ーーZIPANG OPERAが掲げる「新たなジャパニーズポップス」とは、どういうものを指しているのでしょうか。

心之介:僕たちしか歌えないものを提示していくことで、それを示すことになると思いますし、それが理想ですね。spiさんの「I Believe」は王道のバラードだし、侑くんの「WELCOME TO NEW WORLD」はエレクトロでヒップホップ。14曲それぞれに振り幅があって、アプローチできないエリアがない4人だと思うので、化学反応が起きれば自ずと「新たなジャパニーズポップ」になるという確信があります。

spi:僕らに携わっているのは、日本のサブカルチャーのなかで育ってきた新しい感覚を持っているクリエイターが多いんですよ。彼らのインプットがある状態で生み出される温故知新が、新しさに結びついていくはずだと信じています。彼らの創作にどれだけ共感してお客さんに提示できるかも大事。「こいつらにやらせたい!」と制作陣に思ってもらえるラインにはいきたいですね。ZIPANG OPERAはチームなので。

ーー今後はどういうグループになっていきたいと考えますか。

心之介:応援してくださるファンの方と一緒に成長していけるグループになりたいです。先頭を突っ走れる4人だからこそ、いい意味で期待を裏切れるようなアプローチを、楽曲でもライブのパフォーマンスでもしていきたいですね。「この人たち、どこまで行くんだ?」という底の見えないグループになれたら最高。あと個人的にもっといろいろな衣装を着てみたいと思っています。

spi:表のメンバー4人は基本的に人を見捨てずに、どんな人にも手を差し伸べるんですよ。だから孤独を感じている人に寄り添えるアーティストでありたい。きっとみんなもそう思っているはずです。そして楽曲的には、曲を聴いたり、公演を観てくれた同業者やクリエイターがインスパイアされるものを作っていきたいです。パリコレ(パリ・コレクション)のように「ぼんやり思っていたイメージを具現化させている人がいる」「先にやられていた、悔しい」「パフォーマンスすごいな」とか、「ZIPANG OPERAみたいな」という形容詞になれたら嬉しいですね。

■リリース情報
ZIPANG OPERA『ZERO』
11月3日(水)発売
ストリーミング&ダウンロード:https://orcd.co/zipangopera_zero
<CD収録内容> ※全形態共通
01. Cherry Blossom
02. DRAGON FIREWORK
03. Higher Ground
04. Last Quarter
05. WELCOME TO NEW WORLD(福澤 侑)
06. I Believe(spi)
07. Alter Ego(佐藤流司)
08. HATE DISTANCE(心之介)
09. Breath
10. DRAMA
11. Happy Feeling
12. 開華
13. 鳴音
14. OVERGROUND

・初回生産限定盤(Blu-ray)
※三方背BOX+トールケース仕様
形態:CD+2Blu-ray
価格:¥12,100税込
<Blu-ray収録内容>
・DISC1
『ZIPANG OPERA ACT ZERO 〜暁の海〜』(本編映像)
・DISC2
『ZIPANG OPERA ACT ZERO 〜暁の海〜』(全景映像)
Behind The Scenes
※封入特典:オリジナルブロマイド(全8種より1枚ランダム封入)、オリジナルフォトブック(44P)、シリアルナンバー2つ

・初回生産限定盤(DVD)
※三方背BOX+トールケース仕様
形態:CD+2DVD
価格:¥11,000税込
<DVD収録内容>
・DISC1
『ZIPANG OPERA ACT ZERO 〜暁の海〜』本編映像
・DISC2
『ZIPANG OPERA ACT ZERO 〜暁の海〜』全景映像
Behind The Scenes
※封入特典:オリジナルブロマイド(全8種より1枚ランダム封入)、オリジナルフォトブック(44P)、シリアルナンバー2つ

・通常盤(CD)
形態:CD
価格:¥3,300税込
※初回盤封入特典:オリジナルブロマイド(全8種より1枚ランダム封入)、シリアルナンバー

■ZIPANG OPERA info
【Twitter】https://twitter.com/zipang_opera
【HP】https://ldhrecords.jp/zipangopera
【YouTubeチャンネル】https://www.youtube.com/c/ZIPANGOPERA

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる